新生希エヴァンゲリオン未来の向こう側


第弐拾壱話―貫くモノ―



Btypeが本部に輸送されてから2日。
すぐに使徒が襲来した。間髪入れずに襲来したが備えは十分だった。
『ただちに各機発進。敵の攻撃方法が分からないから接近戦はできるだけ避けて、射撃武器で応戦して』
そうミヨコは命令を出し、各エヴァを発進させる。
『3A−601 10th ハニエル』はその光り輝く棒状の体を以前の使徒とは比べ物にならないほどの速度で第4新東京市へ向かわせていた。
これまでの使徒はエヴァよりも全ての速度において劣っていた、あるいは同程度の能力しか持っていなかった。
しかし、今回の使徒ハニエルはエヴァの速度を容易く超えるスピードを襲来時から見せ付けていた。
『皆聞こえる?敵の最大スピードは観測した時点で音速に限りなく近いわ。気をつけて。できる限りを距離を取ったほうがいいわ』
ミヨコが全機体に無線でそう告げた瞬間だった。
敵が第4新東京市に侵入した。
ハニエルは瞬く間にエヴァを射程距離内に収めた。
「速いっ!右よ姉さん!」
「分かってる!くっ!」
ハニエルは最初にターゲットにしたのは一番近くにいたStypeだった。
Stypeは他のエヴァよりも駆動系に改良が施されている。つまり、素早い。
しかし、そのStypeでさえハニエルのスピードを捉え切ることは不可能だった。
ハニエルはその体をまるで鈍器のように使い、Stypeに打撃攻撃を加えた。
Stypeは槍状の武器グングニルを使いそれを弾き返した。
だが、追撃しようとしたときそこにハニエルの姿はなかった。
「くっ、ミヨコさん!敵は接近戦タイプのようです!レイこれ、使って!今回の敵にはあんまり効かないかもだけど!」
Stypeはもう片手に持っていたサブマシンガンをGtypeがいる方向へと投げる。
投げられたサブマシンガンをGtypeはキャッチする。Gtypeはサブマシンガンを合計二挺所持。
その二挺のサブマシンガンを向かってきたハニエルに対して乱射する。
ハニエルは諦めたのかその攻撃対象をSStypeとBtypeに変更した。
「着たぞ、ユウキ」
シュリは向かってきているのにその表情は余裕だった。
対して話しかけられたユウキも額に汗を浮かべてはいるものの好戦的な笑みだった。
「ここは、君のお手並みを拝見させてもらうよ。装備が装備だし」
現在SStypeが装備しているのは連射可能で精密射撃もできるライフル。
ライフルゆえにリーチが長く、接近戦には不向きである。
それをシュリも分かったのか、Btypeは自らが持つ斧状の新しく開発された武器『トールハンマー』を両手で持ち構える。
この武器は先端に小型のポジトロンライフルを応用した技術が組み込まれており、武器に高電圧の電撃を纏わせることができる。
もちろん斬撃にも使え、ピンポイントで電撃を流すこともできる。
ハニエルは後方に下がったSStypeには目もくれずBtypeを狙いその体を振るった。
Btypeはその攻撃をトールハンマーで受け止めることはせず後ろのビルを踏み台にしてハニエルの後方にジャンプした。
その隙にトールハンマーで攻撃を行う。
「これでっ!……何っ!?」
だが、トールハンマーの攻撃した先にハニエルはいなかった。
一筋縄ではいかないとハニエルは判断したのか、目標を向かってくるStypeに再び定めた。
「姉さん!」
「分かってるわ!このちょこまかとぉ!」
シズクは避けることは考えずグングニルで受け止めるつもりだった。
ライフルで敵を狙っているユウキは気づいた、ハニエルが真正面から攻撃を行わないことに。
だから叫んでいた。
「シズク、焦るな!くそっ!ミヨコさん!グングニルとサブマシンガンをそれぞれC-3、D-5に!早く!」
『分かったわ!』
SStypeが高速でそれぞれ武器が現れたポイントから武器を回収し、Stypeの元へ向かった。
しかし、遅かった。
真正面から攻撃を行うと予測したシズクはグングニルを前に振るった。
ハニエルはそれが分かっていたかのように棒状の体を急停止させた。
「しまったっ!ユメミ武器を爆破して!」
「分かったわ!」
グングニルが爆発するより早くハニエルはその棒状の体の先端を鋭く尖らせまるで刃物のようにしグングニルをStypeの腕ごと切断した。
その切断されたStypeの腕から鮮血が放たれる。
「うぐっ……ぁあ……」
瞬間的に痛みがシズクを襲う。腕を押さえる。
「姉さん……レンさんシステムを私にっ!」
しかし、その無線にシュリが割って入った。
驚愕の表情でモニターに表示されているシュリを見る、ユメミ。
「たとえシンクロしたとしても、手がないのなら武器が使えない!このまま下がるんだ!」
『レン!Stypeを回収!医療班も早く!』
『分かったわ』
その声を聞いて、ユメミは俯いた。


シュリがユメミちゃんを説得した。
悔しいが俺もシュリの意見に賛成だった。
武器が使えないのならば足手まといになるのは分かっていた。
それぞれのポイントで回収した武器を俺は構え棒状の使徒を見据えた。
その素早い速度は本当に厄介で危険だった。
次の瞬間にはレーダーを見ないとどこにいるか分からないという状況がさっきから連続して続いていた。
『ユウキ君後ろ!』
綾波の声を聞いた瞬間に後ろを見ないでグングニルを後ろに振るう。
その使徒はさきほどのStypeの時のように急停止し俺の攻撃を避けた。
俺は続けざまに発砲する。サブマシンガンの弾をばら撒く。
多少速度が落ちたように見えた。
「今だっ!シュリ!やれ!」
『言われなくともっ!はぁあああ!』
近くにいたシュリの乗るBtypeはプラズマの帯びたトールハンマーを使徒に振りかざす。
「うぉっと!しまったっ!?」
その使徒はシュリの素早い攻撃を一瞬で避けるとそのまま手薄のGtypeへと向かった。
「綾波避けろ!」
『くっ!』
俺とシュリがGtypeのもとに急行するが使徒の方が圧倒的にそのスピードは速かった。
Gtypeはなんとかサブマシンガンでけん制しながら間一髪のところで何度も攻撃を避けていた。
見かねたシュリがトールハンマーを使徒に対して再び振りかざした。
それをまたしても華麗に避ける使徒。
Btypeに攻撃が行くと思い片手に持っていたサブマシンガンで俺はけん制を行う。
だが、向かったのはBtypeではなかった。
使徒が目指したのはGtypeだった。
これは予測していなかったのか無線でシュリと綾波の焦った声が聞こえた。
「綾波っ!」
俺は武器二つを使徒に対して投げた。当たればこちらに向かってくると踏んだから。
しかし、惜しくもそのスピードの前では投げた武器などかすりもしなかった。
「くそっ!間に合え!」
『待て!…………あの馬鹿野郎……待てって言ったのに』
シュリの制止を振り切りGtypeを横から突き飛ばした。
綾波の悲鳴が聞こえる。悪いことしたな……。
「ユウキ!前だ!」
『ユウキ君、前方から使徒が!』
ミヨコさんとシュリに同時に叫ばれる。
しかし、Gtypeを突き飛ばし、バランスを崩した俺は当然体制を立て直して避けるなんてことは無理だった。
っ…………!?
まるで刃物で肉を突き刺したかのような鈍い音が頭に響いた。
喉から熱いものがこみ上げる。そしてエントリープラグ内にそれがはき出た。
赤い液体、まさしく俺の血。
腹が焼けるように熱い。
視界がぼやける。
手で腹を押さえなんとか耐える。
痛さが尋常じゃない。
『ユウキ!引き抜け!』
そ、そんなこと言われても、ぼやける視界がうざかった。
だが、レバーを握りなおして使徒に両手をかけた。
けん制だろうか、おそらく綾波がマシンガンを使徒に対して撃っているというのが分かった。
シュリの手も加わり引き抜こうとしたそのときだった。
うがぁ……あぁ!!……くぅっ!?
いきなり、刺さっている、使徒、から何か飛び出した……。
『まさかっ!?作戦司令!SStypeのシンクロカット急げ!』
シュリが叫んだのが聞こえた。
だが、それどころじゃなかった。
いきなり、手が、刺さった使徒が、飛び出した何かが……回転し
「うぐぁぁぁぁぁぉ……!?……」
もう一度血を吐き俺の意識は途絶えてしまった。
完全に……。


シュリの予感は当たっていた。
ハニエルはまるでモリかなにかのように刺さった自分が抜けないように先端から小さい棘をいくつも出したのだった。
それがあのスピードで回転したのだ。通常の人間だったら即死級の痛みと出血。
ハニエル、Btypeを含めそのあたり一帯がSStypeの腹から噴出した大量の血によって赤く染まった。
その光景に誰もが息を呑んだ、そして気を落とした。
『SStypeのエントリープラグを緊急射出して!』
ミヨコが遅れて命令を出す。
だが、そこにはエラーの文字が現れる。
『受信を拒絶!?なんで!?パイロットの意識は!?」
『ありません!』
『じゃあ、どうして……まさか!?』
その兆候はすでに現れていた。
瞬時に距離を取り、どう対処しようか考えていたシュリでさえその光景には驚きが隠せなかった。
だらんとなっているSStypeの両手が動いていたのである。
少しずつ、だが力強く。
その腕が今だに回転をしているハニエルを掴んだ。
そして失われたSStypeの両目に光が戻る。赤く輝く光が。口のジョイントが開かれる。
開いた瞬間空気を揺るがす咆哮が辺りに響き渡った。
『再起動!?レン!』
『分からないわ!』
SStypeはハニエルを引き抜く。
そこでまた大量に腹部から出血する。
だが、そんなことはお構いなしにSStypeは掴んだハニエルを高々と持ち上げた。
SStypeの手がハニエルを枝を折るような掴み方をしている。
そして……。
鈍い音とともにハニエルは真ん中から真っ二つに折れた。
『パターン青消滅を確認……』
発令所には巨大なモニターにまるで勝ち誇るがごとく折れたハニエルを持ち上げているSStypeが映り、電子音が響くだけだった。


目が覚めた。
汗をかいていた。
嫌な夢を見ていた。
碇シンジの夢だった。
鬱になりそうな夢だった。
テンションは最低値まで落ちていた。
腹部に少し違和感がある。
包帯が巻かれていた。しかし、特に強い痛みなどはなかった。
横には黒髪の青年のような顔をした男がいた。
青年のようなというのは見た目だけで、俺にはその人間を知っているがそういえば歳は知らないと思ったから。
「よぉ、気がついたみたいだな」
その男、ミハエルはさも俺が起きるのが当たり前のような顔をしてそう言った。
人がおそらく何日かぶりに起き上がったというのに感動というものがないのか、こいつは。
「人が起き上がったのに何言ってんだこいつは。みたいな顔してるぞ」
「どんな顔だよ」
思わず顔に笑みがこぼれた。すると、急に真顔になった。
「本当に大丈夫みたいだな。大変だったんだぞ、色々と」
それからミハエルは話してくれた。
シュリ以外のパイロット達は心配だったみたいで毎日俺の病室に訪れていたらしい。
死んだわけじゃあるまいし。
「そんなユウキ君に提案がある」
「なんだ?」
「碇シンジや使徒のこと…………知りたくないか?」
思考が止まった。
いや思考はちゃんとしているんだが、そうこれは動揺しているといえる。
「お前は知ってるのかよ」
「知らない、だけど知るつもりがある、あるいは知りたいのならば一人より二人だろ?」
いつになく、ミハエルの顔は真面目だった。
そして懐からあるものを取り出した……け、拳銃!?
「ま、待て、まだ死にたくないぞ!」
「あぁ?アホか……」
ミハエルはそう言うと拳銃を近くの棚の上に置いた。
「知りたい場合、少々荒っぽい手を使わざる負えなくなるときもある。そのときのためのものだ」
つまり、真実を追い求めるということはそれ相応の覚悟が必要になるってことか。
拳銃を渡す、命を狙われる危険があるということだ。
「少し考えさせてほしい……」
俺の声はまるで絞り出したかのようなものだった。
「そうか……まあ、いつでもいいさ。協力は惜しまないつもりだ」
「サンキュー」
俺が礼を言うと、ミハエルは手を上げながら病室を出て行った。
再び病室内に静寂が訪れる。
しかし、視界に黒いものが目に入る。
「あのバカ!拳銃持って帰れよ!」
俺は誰かに見つかると後々厄介だと思い、ベッドの下に隠した。
と言ってもこれも誰かに見つかる可能性がないとは全く言い切れない。
ちょっとベッドの下を覗こうものなら見えてしまうからだ。
隠してから丁度ベッドに戻ったところでレンさんがやってきた。
おそらく、ミハエルから俺が起きたということを聞いたのだろう。
「具合はどう?」
いつもどおりの白衣だった。
この人は上着を白衣以外着ないのだろうか、なんて他愛のないことが頭に思い浮かぶくらいだからもう体は大丈夫なのだろう。
「特に問題はないと思いますけど……包帯巻かれている腹部に痛みはないし……」
レンさんは驚いたような表情で俺を見た。
あまり、分かりやすい表情を浮かべないレンさんにとっては貴重である。
「……ユウキ君、あなたはあの戦闘のとき敵の攻撃のダメージからのフィードバックで内臓が少し傷ついていたのだけれど」
「えっ……」
内臓とはつまり、胃とか、腸とかってころだろ?
そんな大怪我したのに俺にはまったく痛みがない……って変じゃないか?
今の医療技術は格段に進歩しているから一週間掛からずに内臓の出血など輸血用の血でもあれば簡単に直せるはずだ。
破裂でもしてない限り。
でも、違和感とかちょっとした痛みならありそうではある。
それが全くないとなると、俺が鈍感だから気づかないのか、あるいは痛みを感じないほどまでに治ってしまったのか、神経が飛んだのか。
「まあ、痛くないにこしたことはないでしょうね。検査して異常がなかったら退院してもいいでしょう」
そう言って、レンさんは出て行こうとする。
「レンさん!」
俺はそれを呼び止める。
出て行く直前のレンさんが振り向く。
聞くことが一つあった。
「俺って一体何日間ぐらい寝ていたのでしょうか?」
「三日よ」
やはり、痛みを感じない俺は変なのだろうか。
俺は一人、窓を見ながら考えていたらものすごい速い足音とともに扉が開かれる音がした。
扉の方を向いた瞬間。
胸に痛みが走った。痛みといっても軽い、本当に軽いもので。
それと同時に視界の端に水色の何か――これは髪の毛だろうか――が見えた。
初めて俺の胸を攻撃したのが誰かの頭突きというのが分かった。
その人物が顔を上げた。
真赤に染まった瞳、元々真赤なその瞳は泣いていたのかもっと赤みを増していた。
目尻にはまだ涙の形跡が見える。
と、冷静に分析してみるものの俺の心臓はすでにバクバク、ドキドキで。
「よかったっ……っユウキ君!」
理由は、半ば抱きつかれるような形で胸に飛び込んできたのは綾波だったから。
今、誰かに見られたらかなり面倒ごとになりそうだ。
だから肩をリズムを取るように数回叩き、病室にあるパイプイスに座ってもらった。
「本当に……よかったぁ……ユウキ君が目を覚ましてっ……」
『たった三日間だろ?』って言ってやろうかと思ったのだが安心しきった表情で見つめられるとそれすらいえなくなってしまう。
それから綾波はいろんなことを話してくれた。
あの後戦闘がどうなったのか。
俺が倒れてシュリが責任を感じていたとか、シズクがやはり元気を失くしていた。
などなど。
ミハエルの影響だろう。
俺が綾波に聞いてみようと思ってしまったのは……。
「綾波前々から聞きたいことがあったんだけど……」
俺が真面目な顔をしたからだろうか、綾波の顔も使徒と戦っているときのような真面目な顔になっていた。
「ROEって……知ってる?」
綾波の表情が変わった。申し訳ないような顔になっている。
俺に何があったのか知っているのだろうか。
「知らないなら別にいいんだけど……」
俺がそう言うと
「ROEって毎年政府が行っているあれのこと?」
「ああ」
「一応知ってるよ。正式名称はリバイバル・オブ・エヴァンゲリオン。攻めて来る使徒に対して対抗策であるエヴァを復活させる計画って聞いてるけど」
そうだったのか。
ROEとは何の略かすらも俺は知らなかった。
ってことはあの計画はエヴァンゲリオンのパイロット選出といったところか……。
確かに無闇やたらに子供を使うより、選抜された者を使ったほうが強いといったところか。
人も殺してるし。
しかし、なんで軍の子供を使わないのだろうか。
「じゃあ、使徒が何で攻めて来るかとかは分かる?」
「話によると、サード・インパクトを起こすためって……」
「…………」
その時点で政府や国連が事実隠蔽をしているのが分かった。
俺には碇シンジの記憶が微かに残っている、あいつの不可解な行動からしてサード・インパクトはもう起こっていると見てもいい。
「どうしたの、ユウキ君、どっか痛むの?」
真面目な顔をして急に黙ってしまった俺を不審に思ったのだろうか。
綾波が心配そうな顔で俺を覗き込む。
「大丈夫だよ、痛みはないから…………」
「なら、いいけど……」
弱めの風が開いている病室の窓から入ってきて、俺の頭を撫でる。
視線を窓から綾波に戻したときだった。
「ねえ、どうしたの?そんな質問ばかりして……」
「えっ……?」
「なんか、そのユウキ君さ……疑ってない?組織のこと」
「っ……」
図星だった。
俺はApostle Busterという一つの組織にすでに疑いを持ってしまった。
ROEのことやサード・インパクトの事実隠蔽。
疑うには十分すぎると思う。
何故、隠す必要があるのだろうか?
それは知られたら不利益になるということだと思う。
「綾波は……信じられる?エヴァやABを」
素直に質問してしまった。
対する綾波はまるで不審なものでも見るような目で
「なに言ってるの?……あ、当たり前じゃない!攻めて来る使徒と戦ってるんだから」
「たぶん俺以外皆そう思っているのかな……正直言うと疑いを持ち始めてるんだ…………」
「ど、どこに?」
「それは……言えない」
いえなかった。
自分がROEのときとはいえ人を殺したことを。
自分が碇シンジの記憶をなぜか、持っていてそれによりサード・インパクトはすでに起こっていることを。
拒絶されるのが嫌だったから。
……。
ってこれじゃ、碇シンジと同じか……。
「要するに……乗るのがいやになった……とか?」
綾波が恐る恐る聞いているのが感じられた。
「別にそういうわけじゃっ」
「乗りたくないなら、ちゃんとそう言えばよかったじゃない……!」
俺の弁解を聞く耳持たずといった感じで立ち上がり、綾波は病室を出て行った。
病室の外に出て、ロビーに向かい公衆電話から電話をかけた。
相手はミハエル。
「ミハエルか?」
『ああ、どうした?』
「お前の申し出を受ける。どうすればいいのか教えてくれ」
『そうか、じゃあ退院したら俺の部屋に来てくれ、あとあれはいつも持ち歩くように』
「分かった、ごめん、迷惑をかけるよな」
『お前俺の仲だろ?じゃあなっ』
電話が切れる。
お前と俺の仲……か。
どんな、仲なのだろうかと少々疑問に思ってしまったのは言うまでもない。


To be continued


次回予告

自己犠牲。
仲間意識。
信頼と恋愛。
行き着く先は果たして……。


次へ
一つ前へ戻る


後書き
冒頭から使徒戦でございます。
ハニエルは旧約聖書における美の天使から取りました。
外見はアルミサエルが槍みたいになってすごくスピードが早くなったと考えてもられば幸いです。
次で物語の確信である使徒やROEのことを書く予定であります。