新世紀エヴァンゲリオン
皆が居る未来のために


第十九話 二人・・・


ネルフ本部

第一発令所


先ほどのネルフが被った被害はひどいものだった。

キュベレイの大破、セントラルドグマの露出、第一発令所の破損。

「第一発令所はもう使い物にならないわね・・・」

「そうですね、これからは第二発令所を使いうしかないんでしょうか・・・・あそこのイスきついんですよね。作りは同じはずなんですけど・・・・・・」

会話をしているのはリツコとマヤである。

「幸いMAGIの移植は可能だから明日にでも始めて」

「はい」

「今使えるか分からないのはキュベレイよね・・・・・・・やっぱりあの計画を実行に移すしかないわね」

「あの計画・・・・・?」

「えっ・・・・ああ、こっちの話・・・」

一方そのころシンジは・・・

ネルフの第七ケイジにセイントラディアンスを収容し皆の前に来ていた。

「あなた、本当にシンジ君なの!?」

「はい、そうですけど・・・・・・」

「だったら、その目は何!?」

「はぁ!?」

シンジは咄嗟に鏡(どこから取り出したのか)を持ち自分の顔を見た。そこには髪は黒かったが瞳は完璧に赤だった。

「あ、赤い!?・・・・・・そんなバカな!!・・・・・・・・これを見ても信じてもらえませんか?」

シンジは自分のIDカードを見せた。

「そ、それはシンジ君のIDカード!?」

「皆何をやっている・・・」

そこには司令である碇ゲンドウが出てきた。

「父さん・・・・・・」

「シンジか・・・・・・」

「はい」

「良く戻ってきたな・・・・・・・皆は作業に戻ってくれ」

「ですが、司令!!」

「シンジ・・・あとで司令室まで来い」

シンジが頷くとゲンドウも司令室へと向かった。

「本当に、本当にシンジ君なのね!?」

「くどいですよ、ミサトさん・・・・」

ミサトはシンジの肩に手を置くと耳元でこう呟いた。

「あんた、皆がどれだけ心配したと思ってんのよ?」

「・・・・すみません・・・・・でも、俺は生きてますから・・・・大丈夫です」

「・・・・・・さ、作業に・・・も、戻るわ・・・」

シンジは作業に戻ったミサトが涙を堪えているように見えたという。

司令室

シンジはゲンドウに言われた通り司令室に来ていた。

「シンジ・・・一体何が起きたんだ?」

「・・・・・俺はあの赤い世界に戻っていた・・・・そこで再び綾波に会った・・・」

「赤い世界のレイにか・・?」

「うん・・・・・・そこで新たな力を与えるとか言われてエヴァンゲリオン初号機とロンギヌスの槍を手に入れた」

「エヴァンゲリオン初号機とはあっちの世界のか?」

「うん・・・でも、そのままじゃ使い物になりそうになかったから『創造』っていう能力をもらったんだ」

「どんな能力なんだ?」

「え〜と・・・例えば・・・・・」

シンジが手を差し出すとそこから釘が一本出てきた。

「・・・?」

「だからなんにも材料とかがなくても物を作れるんだ・・・・まあ、機械的なものだけだけど」

「そうか・・・・それでロンギヌスの槍とは?」

「あっちの世界で使徒に無敵の力を誇った槍だよ。ただ、あっちの世界では衛星軌道上の使徒を殲滅するために投擲したとき月軌道に乗っちゃって回収不能になったんだけどね・・・・」

「それが何故赤い世界に?」

「綾波が言うには暴走した初号機がロンギヌスの槍を月軌道から呼び戻したらしい」

「・・・・・話はだいたい分かった・・・・それと皆お前が死んだを思い込んでいて悲しんでいる・・・・・皆にあいさつに行ったほうが良いだろう・・・」

「分かったよ・・・ありがとう、父さん」

そう言うとシンジは司令室を出た。

「あいさつか・・・・・・・・・」

シンジには頭の中にある一人の少女が浮かんだ。

「よし、行くか」

シンジはアスカの病室へと急いだ。

「ここか・・・・・・」

シンジはノックせずに入った。

アスカはベッドに顔を隠して寝ていた。

「そうとう参っていたのか・・・・・悪いことしちゃったかな」

シンジが呟くとアスカは目をゆっくりと開けた。

「お目覚めかな・・・・姫?」

アスカはゆっくりその聞き覚えのある声の主の方を向いた。

そこには見慣れた制服と中性的な顔立ちの美少年で髪が真っ黒い瞳が赤色の瞳の少年が立っていた。

「・・・・・・だ・・・・・・・・れ・・・・・・?」

「覚えていないとはさびしいよ・・・・・・アスカ・・・・」

「!!・・・・う、うそよ・・・だってシンジは死んだって・・・・・フェイスが・・!!」

シンジはアスカの手を優しく握り呟いた。

「俺は・・・死んでない・・・ここにいるよアスカ・・・」

「シンジ・・・・・・シンジ・・シンジ、シンジ!!!」

アスカはシンジに寝ながら抱きついた。それに多少シンジはよろけるがしっかり支える。

「ごめん、ごめんね・・・アスカ・・・・・」

「バカ!!・・・・バカ・・・・・ほんっとに心配したんだからぁ・・・」

アスカの瞳からは大粒の涙が流れていた。その涙がシンジの制服を湿らす。

「ごめん・・・・・・アスカ・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・おかえり!!シンジ!!」

アスカはシンジの赤い瞳を見つめながら涙で濡れた顔で満面の笑みを浮かべた。

「ただいま・・・・・アスカ・・・」

シンジはそれに答えるように満面の笑みで返した。

ついでに他の人の病室

西口リュウトの場合

「よぉ、リュウト、大丈夫?」

「・・・うん・・・・・・なんとか・・・」

「そうか、それはよかった・・・・早く退院しろよな?」

「ああ!!」

綾波レイの場合

「レイ、大丈夫?」

「かすり傷程度だから・・・大丈夫」

「そうか、じゃあ、もうすぐ退院できるな?」

「うん、私もはやく退院したい」

「うん、待ってるよ」

綾波マユの場合

「あ、お兄ちゃん!!・・・・・・いっ!!」

「お、おい、あんまり無理するなよ」

「だ、だって・・・お兄ちゃんがお見舞いに来てくれたから」

「そうか、早く直せよ」

「うん」

南川フェイスの場合

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・あんたも怪我することってあるんだな?」

「私だって一応人間の形をしている・・・怪我ぐらいするさ」

「まあ、はやくなおすにこしたことはないぞ」

「ああ、分かってる」





次回予告

大損害を被ったネルフも徐々に復興しつつあった。

そしてシンジはある少年と対決する

次回 第二十話 対決の翼