新世紀エヴァンゲリオン
皆が居る未来のために


第十六話 自由という名の死神の翼


第一中学校

「ねえ、あの桜井って奴あいつと妙に仲がよくない?」

「誰?」

「ほら、碇と桜井だよ」

さあ、桜井とは一体誰なのだろう?



時は一週間前に遡る。



「おい、碇、転校生が来るって知ってるか?」

「えっ・・・・そんな情報はないけどな・・・・」

「じゃあ、ネルフ関係者じゃなくて一般人か?」

「そうなんじゃない・・・・でもこんな時に戦乱のど真ん中に転校してくるやつなんているのかな〜」

「ふつうはいないやろ・・・そんなん頭いかれてるんとちゃうか?」

「まあ、今日の朝になれば真実が分かるだろう」

そして朝のホームルームが始まった。

いつものように担任の長い話が始まりみんなほとんど聞いていない。

「え〜最後に今日は転校生を紹介します」

入ってきたのは髪は藍色で瞳は黒曜石のような色でシンジと同じく少し中性的な顔立ちで美形と言っても過言ではない。

「え〜と、転入生の桜井シンスケです。前は第二東京の方に住んでいました。これからよろしくおねがいします」

「え〜では、これにてホームルームを終了します」



↑これが一週間前の出来事である。



そしてここは現在ネルフ本部

シンジはここでパソコンに新たなデータを作っていた。どうやら何か書類のようだった。

「・・・・・・・・」

部屋にはパソコンのキーボードの『カタカタカタカタ・・・』という音しか聞こえてこない。

その書類の題名はこうだった。

『GOD計画』

「実行に移すか・・・・・」

その時ドアが急に開いた。シンジは慌ててデータを保存し電源を切った。

「シンジ君、頼まれてた『あれ』のことなんだけど・・・」

「どうかしましたか?」

たずねてきたのはリツコで『あれ』のことで相談に来たという。

「やっぱり『あれ』は核を動力にしないとエネルギー制御がうまくいかないわ」

「・・・・やはり、そうでしたか・・・・・・じゃあ、逆に核を使えば問題はないんですね?」

「それはそうだけど・・・!!・・・・・もしかして核を使うつもり!?」

「そうしなくちゃ駄目でしょう・・・」

「でも、核がもし街中で爆発でもしたら!!」

「大丈夫です。パイロットたちはみんな優秀だから・・・・」

リツコはシンジのその言葉を聞いてため息をつき出て行きざまにこう呟いた。

「信じているからなんでしょうね」

「はい・・・・・俺はみんなが大事だから・・・この計画を実行しようと考えています」

リツコはシンジの言葉を聞くと不思議そうにシンジを見た後部屋を出て行った。

「みんなが大事か・・・・・・・・」

シンジはそう呟くとユイの写真が入っているロケットを握り締めて天井を見ながらこう呟いた。



「・・・・・・そうだよね・・・・・・・・母さん・・・・」



シンジにはそのとき一度も顔を見たことないのに笑っている自分の母親が頭に浮かんだという。

その一週間後ネルフ第三支部でエヴァンゲリオン五号機・・・『FREEDOM』は完成した。

核エンジンを積んだこの機体が後に甚大な被害を齎すなど誰も考えていなかったし知る由もなかった。

その一週間後またもやネルフを騒がす事態が起きた。

「えぇ!!第三支部が攻撃を受けた!?」

「確かに、二時間前に攻撃を受けたと連絡が入りました」

「一体、誰が!?」

「それは分かりません・・・・しかし確かなことは建造されて第三支部にロールアウトされていた五号機『FREEDOM』も同時に消えたとのことです」

「もしかして、使徒!?」

「いいえ、それはまずないでしょう・・・・第三支部には使徒に攻撃される理由がないわ」

「もしかすると五号機を狙ったのかもしれないわね」

「五号機を!?」

「ええ、あれには核エネルギーが搭載されていてあれを破壊すれば半径50キロぐらいはあとかたもなく海に沈むはずよ」

「ってことは・・・一体・・・?」

「唯一考えられることは五号機が乗っ取られたってことだけかしらね」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「というと犯人は洗脳の類をもった使徒?」

「おそらく間違いなさそうね」

「とにかく、その五号機の居場所が突き止められるまで手の施しようがなさそうね」

「ええ」

ミサト、リツコ、日向の三人は作戦室にて会議を終了した。



次の日の学校

「シンジ、ちょっといいか?」

「ん?何・・・シンスケ」

「屋上で・・・・・・・・な?」

「うん・・・・・・・」

そして屋上

屋上では風が少し強めに吹いていた。

「・・・・・・」

「風は・・・・うそをつかない・・・・・・・そう思わないか・・・・・・シンジ・・・いや、セラフィム」

「!!・・・・・・」

シンジは激しく動揺した。

「ふふ、その顔は何で俺がセラフィムっていうのを知っているのかって顔だね」

「し、シンスケ!!・・・・・・・・・君はもしかして!?」

「ご名答・・・・・・・・・・」

シンスケは手を広げて宙に舞い上がった。

「う、浮いた!?」

「A.Tフィールドの応用だよ・・・・・・・・・さあ、姿を現せ!!FREEDOM!!」

学校の校舎に『あれ』は現れた。

インパルスなどと同じ顔の設計、機体のメインの色は白、そして背中には十枚の青い翼。

それは紛れもなく第三支部から姿を消したエヴァンゲリオン五号機『FREEDOM』だった。

「俺はセラフィムと対にの存在・・・・・・ルシフェル!!」

そう言うとシンスケはFREEDOMのコクピットに入った。FREEDOMのメインカメラが怪しく灯る。

『目標はネルフ本部だ!!』

そうシンスケがコクピット内から外に分かるように通信を開き叫び、青き翼を持つ白い死神は飛んでいった。

「畜生!!」

シンジはすぐにパイロットたちを集めてネルフへと急いだ。



再びネルフ本部

「FREEDOMがネルフ本部に向けて進行中」

「一週間か・・・・さすがに核を搭載しているエヴァは早いわね」

「そうね、それが敵に回るとは・・思ってもいなかったことだけど・・・・・・・・・」

「パイロットが集まり次第全機発進!!」

数分後パイロット全員が発進した。



シンジはインパルスのコクピット内でずっと考えていた。

(・・・・・・・・・・・・・何故、あんなに良い奴だったシンスケがこんなことを・・・・)

現在のインパルスはフォースシルエットである。

「こちらZ、目標を肉眼で確認!!」

『リュウト君・・・そのまま戦闘態勢に!!ほかの機体もZに続いて!!』

ミサトからの指示が入る。シンジもZのサポートをするためにZに続く。

すると不意をつきFREEDOMが翼に仕込まれているプラズマ砲と腰のレールガンとビームライフル、合計で五門の砲を一気に発射する。

すべての機体がそれを防御しようとしてA.Tフィールドを張るがビームサーベルを持ち突っ込んできたFREEDOMの攻撃は避けられ

ずインパルス以外の機体の右腕を持っていかれる。

『くっ、やはり一筋縄ではいかないようだな・・・』

『ほんとうよ!!まったく、核なんて積むからいけないのよ!!』

「余計な口利いてる暇があったら攻撃しろ!!」

シンジは戦闘中に話をしている二人(フェイス&アスカ)に罵声を聞かせ、自分も負けずにビームサーベルを抜き放ちFREEDOMに向か

って一振りするが相手はシールドで防御し自分も相手のビームサーベルをシールドで防御する。

「シンジーーーーーー!!!!!!!」

「シンスケーーーーーー!!!!!!」

互いの叫び声が心を通してダイレクトに伝わってくる。

「「俺が君(お前)を討つ!!」」

シンジの頭の奥で何かが弾けた。その瞬間からFREEDOMの行動がすべて目で捕らえられるになった。

まったくの互角でビームサーベルとビームサーベルが激突する。

他の機体はしばらく呆然としていたがすぐさまインパルスの援護をする。

「邪魔だーーーーーーーー!!!!」

FREEDOMは五門の砲を射出する。

『キャヤヤヤヤヤヤヤ!!』

ガンダムXは被弾し第三新東京市に落ちてゆく。

「マユ!!!・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

シンジはビームサーベルを二刀流で構えるとFREEDOMに突っ込んでいった。

「君だけはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ビームサーベルで攻撃するがFREEDOMあっさりと避けるとインパルスの左腕を持っていく。

『シンジ!!』

そう叫ぶとアスカは正確にFREEDOMのシールドを狙いスキュラを発射する。

レイのWのビーム砲二挺を合体させスキュラと同程度の威力を持つビームを打ち出す。

「ぐわっ!!・・・・・おのれぇー!!!!!」

シールドを吹っ飛ばされたFREEDOMはインパルスの攻撃を避けながらアスカ、レイ、フェイス、ファイスを次々と撃破していった。

「み、みんな!!・・・・うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

インパルスはFREEDOM目掛けてビームライフルを乱射するがフリーダムは諸ともせずにインパルスに近づく。

「消えうせろー!!!!!セラフィム!!」

「うわぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!!!」

インパルスの胴体がきれいにスパっと切れてインパルスは爆散した。



それを見ていた発令所の全員は自分たちの死を覚悟したがフリーダムはそのままどこかに飛び去っていってしまった。



次回予告

戦場に散ったインパルス・・・

そのことに涙を流すアスカとフェイス

果たして、シンジは・・・

次回 第十七話 欠けたガラス・・・


用語説明


ZGNE−X−EVA05−FREEDOM−PRODUCTION−TYPE(フリーダム)


ドイツの第三支部で開発された正式なエヴァンゲリオン五号機。

通称、フリーダム。

機体のパーソナルカラーは白を基準にしていて背部ユニットには五対十枚の翼がある。その翼にはローエングリン砲が仕込まれている。

腰部にはレールガンが付いている。他の武装は基本的に他の機体と一緒でシールドとビームライフル、ビームサーベルである。

そしてこの機体の最大の特徴が『核』を積んでいる点である。

核の連動により通常のESよりも高い機動力、高い破壊力を持つことができる。そして稼働時間も倍になっており電源が切れにくくなっている。

パイロットが決まる前に何者かによって第三支部で暴走。以後はルシフェルと化してネルフに牙を向いた少年、桜井シンスケの機体となる