lightning


PHASE−02 光の名前

ラーはルゥを連れてシェルターに向かった。
そこにはすでに大蛇の列ができていた。
「もう、ここはいっぱいですので別のシェルターへ移動してください!」
シェルターの前の地球連合軍兵士が叫んだ瞬間ルゥの目が光に包まれた。
ラーは咄嗟にルゥをかばって後ろに倒れた。
ラーが目を開くと足元からシェルター側は火の海となっていた。
ミサイルが爆発したのである。
ラーは立ち上がってその火の海を見た。
ラーの瞳に炎が映りめらめらと燃えている。
まるでラー本人の気持ちを表しているように。
「なんでこんなこと・・・・・・・・!!」
ラーは表情を歪ませた。
そしてルゥを起こす。
「おい、起きろ・・・・・・・・・ルゥ!」
ルゥの頬を二、三回軽く叩くとルゥが目を開ける。
「あれ・・・・・?・・・・・・ラー、シェルターは?」
ラーは目をつぶり首を横に振った。
「えっ・・・・・・・じゃあ、あの大人たちは!?」
「ザフトの攻撃で・・・・・・」
「えっ!!・・・・・・・そんな・・・・・」
「・・・・・・・・まだ、望みがあるわけじゃない!別のシェルターに行けば助かるさ!」
ラーは近くに倒れているザフト兵からマシンガンとハンドガンを一丁ずつ奪うと懐にしまった。
「そんなもの・・・・どうするの?」
「護身用だよ・・・・まあ、使いたくないけどね」
ラーは薄く笑うとルゥに手招きをして別のシェルターがあるであろう所へと向かった。



アルジローレ周辺宙域
リザイア・ウィングがジンにビーム砲を撃つ。
ジンのコクピットに命中し爆発する。
「さすが、新型!ジンも一撃だぜ!」
エラルドはコクピットで叫んだ。
だが、周りのメビウスは次々と撃破されていく。
「なにやってんだ!あいつらは!」
その言葉は爆発したメビウスに届かなかった。
そんなリザイア・ウィングに一機の白い機体が迫ってきた。
ジンの上位機『シグー』である。
リザイア・ウィングは360度回転してシグーの機関銃を避ける。
そしてビーム砲で攻撃する。
が、シグーはそれを難なく避ける。
「くそっ!すばやい!」
エラルドは相手が自分と同等な腕、またはそれ以上だと判断して操縦桿握りなおした。

そして左右のウィングについている大型のバルカン砲で相手を狙わないで攻撃する。
弾が相手の進行方向にまんべんなく散らばり進行の邪魔をする。
「よし!そこだ!」
エラルドはそこにビーム砲を撃った。
当たるかと思ったそのときシグーは背部のウィングのようなもので攻撃を受けて本体を守った。
『なかなか、やるな、貴様!』
「誰だ!?」
『そのシグーのパイロットさ・・・・・名前は『サファイア・コークス』よく覚えておくのだな!』
「待て!!」
だが、シグーは旋回すると遠く彼方の宇宙に飛んでいった。
それを見てエラルドはあきらめて宙域を少し飛び回った。
が、残ったメビウスは一機も見当たらなかった。
「・・・・・生存者はなしか・・・・・仕方ない、コローニーの中へ行くか」
リザイア・ウィングはコロニーの中へとバーニアを吹かした。





一方ラーとルゥはシェルターに向かって走っていた。
「はぁはぁ・・・・もう、ちょ、ちょっと休めない?」
ルゥが息を切らしてラーの腕をつかむ。
「はぁはぁ・・・・・あと少しだ!がんばれ!」
そのとき一人のザフト兵がラーに近づいた。
ラーは咄嗟にポケットからさっき奪ったハンドガンを取り出して肩を足首を貫いた。
「ぐわっ!」
そして近づいて後頭部を思いっきり銃で殴りつける。
するとザフト兵は気絶し足元に倒れる。

「悪いな、先を急いでるんでね!」
ザフト兵から手榴弾四つと弾を手に入れるとルゥの手を引きまた走り出した。
そしてある通路を曲がった。
そこは少し行ったところで行き止まりになっていた。
ルゥの手を離すとそこにしゃがみこんだ。
「はぁはぁはぁ・・・だ、大丈夫か?」
「・・・・・・・うん、でも、私たちこれからどうなるんだろ?」
「それは・・・・・・」
ラーは返答につまった。
確かにこれまで回ったシェルターはすべていっぱいだといわれた。
逃げて安全な場所もない。
「このままじゃわたしたち死んじゃうのかな?」
「・・・・・・・・・・・・分からない・・・・・・でも、諦めたらそこで終わりだ」
「そんなこと言ったって・・・・・無理なものは無理よ・・・・・」
ラーは黙ってルゥに近寄り少し抱きしめる感じにする。
「えっ!・・・・・・ラー・・・ちょっと・・・・」
「大丈夫・・・・・僕たちはここで死なない気がする」
ラーはそう耳元で呟きルゥが体を離して
「行こう!何も手がないわけじゃない!」
「うん!」
ルゥも立ち上がりラーと一緒に走り出した。
そして格納庫のようなところの二階にでる。
ラーが乗り出して下を見ると地球軍兵士が後ろから撃たれそうになっていた。
「危ない!!」
ラーは咄嗟に懐から銃を取り出しザフト兵を狙って発砲する。
すると当たったのかザフト兵が倒れる。
しかし、ラーには倒れたザフト兵士ではなく横にある大きなものに目が行っていた。
「新型MS・・・・・」
ラーは助かるためのある秘策が浮かんだ。
「ルゥ来い!!!」
ラーは勢いよくルゥの手をつかむと新型MSのところまで走った。
そしてハッチの上まで運良く地球軍兵士に見つからずに来れた。
理由は簡単だみんな襲撃してきたザフト兵に対して応戦しているからだ。
「よし!開くぞ!」
ラーは横についているスイッチを押してハッチを開ける。
「ちょっと、どうするのよ?」
「乗って逃げるんだよ、どうせザフトに奪われるんだったら俺たちが乗ってあとで地球軍に返したほうがいいだろ?」
「そ、それもそうね」
ルゥが後部座席に乗ったのを確認するとラーもパイロットシートに座ろうとする。
だが、その瞬間を近くにいた地球軍兵士に見られていた。
「何してるの!?」
地球軍兵士はそう叫び乗ろうとしているラーに発砲した。
その弾丸がラーの肩に命中した。
「うぐぅ!!」
だが、ラーとて負けてはいない。振り向きざまにハンドガンを一発地球軍兵士に撃った。
その弾は地球軍兵士が持っている銃に命中して地球軍兵士の手から離れていった。
ラーはコクピットに座り肩を抑えている。
その肩に少し血が滲んでいた。
「だ、大丈夫?」
「ああ・・・・・掠っただけだから・・・・少し痛いけど」
「ちょっと待って・・・・」
ルゥはポケットから絆創膏を取り出した。
「はい、さっき家で指切っちゃって絆創膏の用意してたから」
「そっか・・・・・ありがとう」
ラーはルゥからもらった絆創膏を肩に貼ると操縦すると思われるレバーを握った。
そして思いっきり前に押し出す。
すると機体がゆっくりと起き上がり直立する。
雷の名前をもつ『ガンダム』と呼ばれるMSが・・・。


予告
地球軍の新型MSに乗り込んだラーとルゥ。
だが、ザフト軍がそんな彼らを逃すわけがなかった。
まとも操縦もできない機体にたいしてラーは・・・。
次回 PHASE−03 光の力