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lightning


PHASE−06 闇の標準(ターゲット)


インビシブルはアルジローレからまだ遠くない距離にいた。
肉眼でアルジローレを確認できるほどである。
だが、そんなインビシブルを追うもう一つの機影があった。
コークス隊のナスカ級高速戦艦である。


―コークス隊ナスカ級高速戦艦―
「どうだ?追いつけそうか?」
サファイアはブリッジでつぶやいた。
「はい、なんとか・・・」
だが、その横にいたレクはサファイアに言った。
「でも、いんですか?」
「何が?」
「あの艦を追って」
「本国からは命令が来ていないからか?」
「はい」
サファイアは考えこう言った。
「命令がこないからといって何もしなければただのバカだ」
それ以上サファイアは何も言わないしレクも何も聞かなかった。
「隊長MSデッキに行って調整してきます」
「ああ、ところでクリスはどうした?」
「えっ?クリスですか?強襲にまぎれて分からなくなりましたがおそらくまだアルジローレの中かと」
「何をしているんだ?」
「諜報ですよ。ザフトはあそこを落として巨大な兵器を作るって父さんが言ってましたから」
「そうか・・・分かった、ありがとう」
「いえ」
レクの父は国防委員会の委員でもある。だから、色々知っているのだろう。
しかし、コロニーごと兵器にするといったらコロニーを地球に落とすか・・・あるいは・・・。
サファイアの頭の中には一つ考えたくない考えが浮かんでいた。





インビシブル
一方こちらはインビシブル。
「ねえ、これでいいのかな?」
「たぶん、あってると思うよ」
ロッカールームで軍服を着ているラーとルゥである。
ルゥはピンク色の制服、ラーは青色の制服である。
しかし、うまく着られないようである。
そこにフィールとクルカが通りかかった。
「何やってるの?」
「いや、何って・・・見れば分かるだろ?」
軍服を着ているようにしか見えない・・・。
「襟の部分がうまくいかないんだよな・・・」
「ちょっと見せて・・・クルカそっちの女の子のほうをお願い」
「うん」
フィールはラーのクルカはルゥの襟を見る。
男子用の制服と女子用の制服は少し襟の構造が違うようである。
「ホックを先に閉めてチャックを止めるの・・・分かった?」
「ああ、ありがとう。えっと・・・フィールでよかったっけ?」
「うん、さっきちょっとごたついてたからね。私はフィール・シーズ。それであっちの子は」
そのとき丁度クルカがルゥの襟を直したところだった。
「わ、私は・・・クルカ・ナイルといいます。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる。
おそらく几帳面なのだろう。
「僕たちの名前は・・・知ってるよね?」
「ええ、ラー・ハルバートンとルゥ・ハイウィンドでしょ?ラーとルゥでいいの?」
「ああ、構わないよ。なあ?ルゥ」
「う、うん」
そのときルゥはちょっと不機嫌そうな顔をしていたのをラーは見逃さなかった。
「それより、ちゃんとライトニングの整備をしておいたほうがいいわよ」
「えっ・・・・?」
「たぶん、また近いうちのザフトが攻めてくるって艦長が言ってたわ」
「また・・・戦わないくちゃいけないのか・・・」
「・・・あと、ルゥ。あなたも訓練はしておいたほうがいいわ」
「な、なんの!?」
ルゥは後ずさりした。
「リザイア・ウィングってあったじゃない?あれと同型で少し性能の違うもう一機をあなたに乗ってもらうってエラルドさんが言ってたわ」
「そ、そんな・・・」
ルゥは俯いた。
それを見たラーは
「分かった・・・後でライトニングの調整をするよ。じゃあ、またあとで」
「ええ」
「はい」
二人は答えるとロッカーを出て行った。
それを見送ったラーはルゥの顔を覗きこんだ。
やはり、少し疲れているような顔だった。
「大丈夫か?」
ルゥは首を振る。
ラーはため息をつきルゥの肩に手をかけた。
「そろそろ昼ごろだろ?食堂行こう?」
ルゥはその問いに無言で頷いた。
ラーはルゥの肩に手をかけたまま食堂へと促した。


食堂
食堂には昼ごろだというのに人はあまりいなかった。
おそらく忙しいのであろう。
ラーとルゥは隅っこのほうに座った。
そしてラーが二人ぶんの食事と水を運んでくる。
「ラー・・・」
「ん?何?」
ラーは丁度フォークで食べ物を口に運んだところだった。
「何で私が乗らなくちゃけないのかな?」
そこでラーはフォークを置き水を一口飲んだあと小さい声で話した。
「僕も初めなんで僕があのMS・・・ライトニングに乗らなくちゃけいないのか?・・・って考えたんだ」
「うん・・・それで?」
「答えは出ないよ・・・でも、何で戦ってるって次に考えたんだ」
「一番初めにジンを倒したときは死にたくない。それとルゥを守りたいって思ったから」
「えっ?」
とっさの言葉にルゥは驚く。
しかし、それに構わずラーは話し続ける。
「戦争をしたいなんてヤツはよっぽどのことじゃないかぎりいないよ。当たり前だけどね。でも、だったら何で戦争をしているの?って聞かれたら答えは一つしかないよ。もちろん皆じゃなくて僕たち若い人たちは何か大切なものを守りたいからじゃないかな?人でも物でも・・・もちろん国でも・・・」
「そっか・・・」
「少なくとも僕はこのインビシブルに乗っているみんなを守りたいから戦ってるだけだよ」
「けどだからってルゥが戦うってことには繋がらないよ。僕にはできればルゥは戦ってほしくない」
「どうして?」
「オーブにいるルゥの両親に顔向けできないよ。ルゥが戦って死ぬより僕が戦って死んだほうがルゥの両親も悲しまないしね」
「な、なに言ってるのよ!ラーは私と一緒にオーブに行く義務があるの!」
「な、何で?」
「そ、それは!!・・・・・私が一人でオーブに行ったら後味悪いでしょ・・・」
ルゥの最後の言葉は小さかったがラーには聞こえていた。
少し恥ずかしかったがラーはとてもうれしかった。
自分の必要としている人がいる。それだけでラーは少しうれしくなった。
そのとき警報が鳴り響いた。
それは戦闘の合図だった。



コークス隊ナスカ級高速戦艦
「よし、標的はあのMSだ!」
「コンディションレッド発令!モビルスーツは全機発進!」
「今日こそあの機体を落とす!」
スナイパーの目は獲物を簡単に逃がしたりはしなかった。



予告
新たに戦闘が起こった。
ラーとエラルドが発進する。
しかし、新米のラーが正規軍にかなうはずもなく。
サファイアのシグーとレクのジンがライトニングを追い詰める。
そのときルゥは・・・。
次回 PHASE−07 決意