lightning


PHASE−05 光の旅立ち


地上にはインビシブルが安置していた。
その横にライトニングは直立している。カラーは灰色である。
つまりエネルギーが切れているのである。
ラーとルゥ、エラルドは艦長がいるブリッジに来ていた。


ブリッジ
入った瞬間通信管制であろう二人にラーとルゥは見られた。
ただ、音のしたほうを見ただけであったがルゥは少しラーに迫った。ラーはバランスをくずしそうになる。
「地球軍所属のエラルド・コウ少佐であります」
「少佐・・・敬語は使わなくていいわ、私も少佐だもの。マイ・キールブレッツ少佐です。よろしく」
「こちらこそ」
エラルドとマイは互いに握手した。
マイはルゥとラーに気がつきエラルドに聞いた。
「そちらの二人は?」
「アルジローレに住んでいた民間人二人だ。名前は・・・」
「ラー・ハルバートンです」
「ルゥ・ハイウィンドです」
「は、ハルバートンですって!?」
周りがざわめき始める。
地球軍でハルバートンという名を知らぬものはいないぐらい有名なのだからしかたがない。
「ああ、そうだ。地球軍きっての知将といわれているドゥメイン・ハルバートンの一人息子さ」
「・・・・・・」
ラーはその言われ方があまり好きではなかった。
父親のことは好きだし尊敬もしている。だが、同時に自己紹介のときにハルバートンと言わざるをえないので少し悔しい感じもする。
「紹介するわ。私は艦長のマイ・キールブレッツ少佐です。そして操舵手を勤めているウルフェイド・サイク曹長」
「歳は18だ。よろしく」
ラーに握手を求めてきたのはラーと同じ金髪で短めにかまえて黒い瞳のおない歳ぐらいの青年だった。
「よ、よろしく・・・」
ラーは自身がないように握手に答える。
そしてラーとルゥのすぐ横の席・・・情報処理担当に座っていた女性が立ち上がり、
「わ、私はクルカ・ナイルです。歳は17で情報処理を担当しています。よろしくおねがいします」
ラーとルゥに握手を求めてきたので握手をした。
その後で顔を真っ赤にしていたところを見るとどうやら自己紹介や発言などが苦手なタイプであるとラーは分析していた。
「えっと・・・あと、下にいるのがこの艦の副長の・・・」
マイが紹介しようとした瞬間
「ネーマル・シーズで〜す。よろしく〜ラー君、ルゥちゃん」
ラーとルゥは同時にポカーンとした。
開いた口が塞がらないとはこのことを言うのである。
「ごめんね、ラー君、彼女優秀なんだけどちょっと天然で・・・」
マイがもうしわけなさそうに小さい声で言う。
ラーとルゥは頷く。
「そして最後に・・・」
またもやマイが紹介しようと思った矢先に下から何かが飛んできた。
赤い髪をラーとショートカットにして紫色の瞳の少女。
「はじめまして、私はフィール・シーズ。歳は16です!よろしくおねがいします!」
「一通り自己紹介は済んだようね。じゃあ、エラルド少佐とラー君とルゥさんは艦長室へ」
ラーとルゥ、エラルドは艦長室へと向かった。


艦長室
艦長室は以外とごちゃごちゃしていた。
書類やらなにやらでいっぱいなのである。
だが、椅子とデクス周りはいたって綺麗で後ろにはちゃんとした地球連合軍の軍旗が立てかけてあった。
「で、これからどうなると思いますか?エラルド少佐」
「う〜ん・・・外にいるザフト軍は少ししつこいような戦い方が目立っていたからな・・・。おそらく攻めてくるだろう」
「だったら、脱出に付き合ってもらうことになってしまうということ?」
「ああ」
だが、事態をうまく収拾できないラーは少し大きめの声で叫んだ。
「ち、ちょっと待ってください!今の話からするとさっきのジンの部隊であるザフト軍が仕掛けてくるってことですよね?」
「そうだ」
「それで脱出に付き合ってもうらことになるってことは僕たちもこの船とともに脱出するってことですか?」
「ええ、そうよ」
ラーが文句を言おうとした瞬間ルゥが身を乗り出して
「嘘ですよね!?だって私たちはアルジローレの民間人ですよ!」
ラーは言いたいことが言われてしまったので黙っていた。
「でも、君たち・・・特にラー君はすでにライトニングを操ってジンを三機も撃墜したじゃないか?」
「ええ、まあ・・・」
「だったら、ライトニングをラー君が操ってくれると心強いのよ」
「ぼ、僕じゃなくてもエラルドさんがいるでしょ!」
「俺、実はMS乗ったことないんだよ。自身ないっていうか・・・」
「それは僕も同じです!」
「それは分かる。だがな、『すでにジンを三機も撃墜した民間人』と『MSに乗ったことがない軍人』とどちらがライトニングをうまく扱えると思う?」
「そ、それは・・・」
ラーは俯いた。
エラルドの言っていることは正しい。それ故腹立たしい。
正確なことを言っているがラーにはどうしても割り切れないことがあった。
「僕は・・・軍人ってことになるんですか・・・・・・」
「う〜ん、表面上はそうだが地球のアラスカに行ったら民間人としてオーブに住むこともできるし、その前に地球軍のどこかの艦隊が助けに来てくれればその艦隊に護衛を任せて君たちはオーブに行くことができるぞ」
オーブ。
地球軍とザフト軍の争いにスカンジナビア共和国と同様に介入していない国の一つ。
地球にあり島国でありルゥの故郷でもある国。
そこに行ってルゥの親の近くで住むのが一番安全だとラーは考え思った。
「シェルターには入れないんですか?」
ルゥがなおも抗議した。
「無理だ。シェルターはもうレベルマックスだ。だから、もう、開かない」
「うぅ・・・」
自分たちを守るはずの警戒レベルが今はうっとおしくルゥは感じていた。
「分かりました」
「えっ・・・・・・?」
ルゥはラーを見るがラーはまっすぐ何かを見つめている。
それはマイでもエラルドでも地球軍旗でもなくましてやごちゃごちゃになっている書類の束でもない。
“何か”である。
「僕が乗りますよ、ライトニングに」
「ち、ちょっとラー!!」
ルゥはラーが今にもどこかに行きそうな気がした。
だから、手首を乱暴に掴んだ。
「大丈夫、地球に下りてオーブに行くまでだよ。無事にオーブに着いたらルゥの両親のもとで僕も一緒に暮らすから」
ラーのその言葉でルゥも諦めて手首から手をそっと離した。
そのときサイレンが鳴り響いた。敵が襲ってきた証拠である。
『艦長!!』
突然壁に設置されているテレビ電話のような装置からネーマルが呼びかけてきた。
「どうしたの!?」
『ジンが四機現れました!おそらく脱出を妨害するようです!』
「分かったわ!今からブリッジに行くわ!」
その装置の電源をマイは切りラーに向き直り
「ということで早速だけど頼むわ・・・ジンが五機よ」
「分かりました」
ラーはMSデッキにエラルドと一緒に走って向かった。
マイは
「あなたは移住区に居て。この艦での役割はおって通達するから」
「はい」
ルゥはマイに案内され移住区に向かい送り届けたマイはブリッジに向かった。


MSデッキ
そこにはエネルギーが満タンになっていたライトニングがあった。
そしてビームライフルとシールドが装備されていた。
「俺はジンの気を引くから片っ端からジンを倒していけ!」
「はい、分かりました!!」
ラーはライトニングへエラルドはリザイア・ウィングへと乗り込んだ。
そして機動させる。
ライトニングは場所を移動しカタパルトに接続した。
『ライトニング発進どうぞ!』
「よし!」
ラーはライトニングのバーニアを吹かす。
勢いよくライトニングがアルジローレの中に押し出される。
すると、ジンが一機向かってくる。
「はっ!?こ、こんなところにまで!」
ラーはビームライフルを乱雑に撃つ。
下手な鉄砲も数打ちゃ当たるというやつである。
そしてその言葉は正しく三発目でジンのコクピット部分にあたり爆発する。
しかし、それを発見したもう一体のジンはビーム砲を撃ってきた。
だが、ライトニングはシールドを構えて完全にそれを防ぐ。
しかし、後ろからミサイルが一発飛んできた。
「し、しまった!」
だが、そのミサイルはインビシブルのバリアントによって破壊された。
『大丈夫!?ラー君』
無線でネーマルが聞いてきた。
ラーはさっきと全然性格が違って二重人格かと思ったが今は戦闘に集中するために画面越しに頷いた。
ライトニングはビームライフルを腰にマウントし左手にあるビームサーベルを抜き放ちミサイル装備のジンに突っ込んだ。
「もうやめろぉぉぉぉ!!!」
ジンは性懲りもなくミサイルを撃ってきたがライトニングは一発目を避けて二発目はビームサーベルで切った。
そしてそのジンに近づき上半身と下半身を真っ二つにし切り落とす。
だが、ラーの気づかないうちに後ろからさっきのビーム砲が飛んできていた。
「うわっ!」
ラーは振り向きざまにシールドで防御しすぐにビームサーベルとビームイフルを入れ替えてビームライフルで狙わずにビーム砲が飛んできたほうに連射する。
すると、小さな爆発が起きる。ジンが爆発した証拠だ。
もう、二機がいるジンの方向へ向かう。
だが、もう二機のジンはインビシブルへと目標を変えたようにインビシブルに攻撃を仕掛けた。
しかし、インビシブルも負けてはいない。
バリアントやゴットフリートを操りジン一機を撃墜する。
そしてリザイア・ウィングが最後のジンをけん制しライトニングがビームライフルでとどめを刺す。
『艦長終わったようです!』
『エラルド少佐とラー君に帰艦命令を!』
『了解』
そして二機はインビシブルに戻った。


ブリッジ
「でも、どうやってアルジローレから出るんですか?」
「それはやぱり港から出るしかないわね」
「でも、どうやって?」
「やっぱり、扉のロックを解除して・・・だな、それかインビシブルのゴットフリートで打ち破るとか」
「・・・・・・・ラー君は解除できないの?」
「一応できますけど・・・ハルバートンの息子ってことで一応許可はもらってます」
「じゃあ、あけてくれ、特例って感じでな?」
「は、はい・・・」
その後インビシブルは無事に港から宇宙へ出ることができた。
インビシブルの自分の部屋でラーは宇宙から見えるアルジローレにに向かってこうつぶやいた。
「さようなら・・・僕の故郷・・・」
アルジローレが光ったようにラーは思った。


予告
運よく宇宙に出ることができたインビシブル。
だが、コークス隊がそんな新米たちを逃がすわけがなかった。
そして今標準はラーの乗るライトニングに合わされていた。
次回 PHASE−06 闇の標準(ターゲット)