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少し湿った床に奴はいた。
魚のような顔その額には宝石、そして犬のような胴体、極めつけはその鳥のような羽!!
「な、なんだ、あれ!?」
俺はすぐに頭の中を探った。過去にあんな変な生き物に遭遇していたのなら必ず覚えているはずだ。
だが、頭の中には奴に関することは何も覚えてなかった。
そして、確かに俺はあの変な生き物に会ったことがあるような気がしてならなかった。



第弐話 反応した闇

そいつは何かを必死で探しているようだった。
彼女と俺は息を殺してじっと奴を見ていた。
だが、奴は俺たちを見逃してはくれなかった。奴がいきなりこっちを向いて目を丸くしたからだ。
その異様な光景に俺は吐き気がしてせきをしてしまった。
それがいけなかった…。奴は完全に俺たちを見つけたようでこっちに向きを変えて歩き出した。
すぐにやられると思ったが奴は四本足歩行の癖に足が遅かった。
これなら小学生でも逃げられるなと思うぐらいに遅かった。
俺はとっさに銃を懐から取り出して彼女を横に押しのけ頭を正確にねらい撃った。
サイレンサーはつけていなかったため大きい音がしてやつの頭に命中した。
だが、奴は頭に二発ほど喰らってもぴんぴんしていた。
「ちっ!! 奴はいったい!?」
そして奴の目狙って撃とうとしたとき奴の目がドロンと一回点して色が変わった。
そのとき心臓が締め付けられるような痛みがはしった。
「うぐっ!!」
俺はすぐにその瞳から目を離した。するとふっと痛みが消えた。
「あれ、痛くない…ならば!!」
俺は再び銃を構えて相手の目を狙った…その瞬間またあの痛みが走った。
「うぐっ!! ま、またかよ!」
その時彼女が不意に俺の目をふさいだ。その瞬間痛みがふっと消えた。
「あなた、いい加減気づきなさい!!」
「な、なんだよ!?」
いい加減気づけって…何に!?
俺は手を払いのけ奴の見た。すると徐々にこっちに近づいて来る。
「あいつの目はね、見た物の心臓を徐々に締め上げる効果があるのよ!!」
「そ、そうか!! なら!!」
銃を構えて足を狙い一発撃つ。
「キイィィィィィィィィィ!!!」
変な声をともに音を立てて転がる。そこに血が広がる。
そしてその隙に目を狙う。間一髪で片目に命中する。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
またもや変な声を出して撃たれていない片足で目を押さえる。
そしてこれほどまでもない増悪の篭った目で俺をにらみつける。
またもや心臓が締め付けられる痛みが走った。呼吸がしにくい。
めまいがしてきた。だが、俺はもう片方の目を狙うと弾を放つ。
すると急に痛みが治まり正常な気分に戻った。
「ふう……弱点みたいなものはないのか?」
「…確か額の宝石みたいなやつて聞いたわ」
「よし!」
俺は銃で額の宝石を狙うと二発撃った。
その二発で宝石が粉々になり今まで立っていた魔物がうそのようにばたりと倒れた。
あたりが静まり返った。天井に溜まった水滴が床に落ちる。
ポチャ…という音とともに彼女はしゃべりだした。
「……ふう」
「はあ…あんな奴がいたとはな…一体ここはどうなってるんだ?」
彼女は一呼吸置くと前を向いてこう言った。
「奥にいったら話すわ」


そして5分も歩いていないのにその場所についた。
その場所は明らかに汚く衛生的に問題ありって証明するには十分なところだった。
ただし、空気はそんなに悪いものではなかった。においもくさいというか心地よいにおいだった。
そんな疑問を抱いていると彼女が真実を語っていた。
「ここの汚いのはただ前まで汚かったから。それに空気は洗浄されているものだから吸っても害はないわ」
俺は一呼吸してみた。
スゥ〜……ハァ〜……
どうやら真実らしい。
すると彼女はある一つのドラム缶になれたように飛び乗って座ると騙り始めた。
「ここはわたしのような孤独な者が来る場所。ここはわたしにとって家のようなもの。
もっとも今は本当に家っていうふうに使ってるけどね」
家!?ここが!?
心の中で何度も叫んだ。だが、声に出してはいけないと頭が働いた。
「あなたは『エレメントハマニティ』よね?」
「そうだけど」
しょうじき自分がエレメントハマニティなのかは分からない。因子は組み込まれていないはずだから。
と、親は昔俺に語っていた。本当の親が、だ。
「あなたは因子は組み込まれていない…そうよね?」
「ああ、そういうことと聞いているが」
「じゃあ、何故あなたがエレメントハマニティか分かる?」
「知るか!!」
俺は少し気分が悪くなり吐き捨てるように言ってしまった。
こんなことを聞かれるのは二年ぶりだった。
一番最初に聞いたのは少年院に入ってすぐだった。
そのときはそれが最初で最後だと思ったがまさか、こんな少女に聞かれるとは思わなかった。
「わたしが教えて差し上げましょうか?」
その声は少し皮肉が混じっていた。
俺は聞きたくてしょうがなかったので素直に「うん」と頷いてしまった。
「ならついてきて」
そう言って少女はドアのほうへと歩いていった。
「ちょっと待てよ」
「ん?」といった感じで少女は振り向いた。
「名前は?」
「わたし?」
「ああ」
「まだ名乗ってなかったっけ?」
少女はさっきとは違うとても年頃の少女らしい表情で顔を近づけた。
俺はその顔に少し赤面してしまったのが頬が熱くなるのを感じて分かった。
「ああ、俺も聞くのを今の今まで忘れてた」
当たり前だ。いきなり変なエレメントビーストらしき生き物と遭遇してしまったのだからな。
あれがエレメントビーストだとしたらなんであんなところにエレメントビーストがいたんだ?
都会や都会の近くの土地ではすべて駆除して出てくることはすごく少なくなったのに…。
まあ、もう倒したのだから関係ないのだが……。
「私の名前は奏崎音姫(かなざき ねき)よろしく」
「ああ、俺は矢倉神龍真だ」
「じゃあ、龍真でいいわね?」
「ああ、俺はなんて呼べばいい?」
「名前でいいわ」
「わかったよ、音姫」
俺は一瞬あることに気づいた。
そうだ、まだ電話していなかった……。
俺は携帯を取り出してみるとさっきの圏外状態が嘘のようにアンテナが三本立っていた。
俗に言う「バリサン」状態なのである。
「悪い、家に電話していいか?」
音姫は「なんで私に聞くの?」といった顔をして頷いた。
そして俺は自宅の電話のショートカットボタンを押して電話をかけた。
二、三回コール音が鳴ると『はい、もしもし』という美優の声が聞こえた。
「あっ美優か?」
『うん、そうだけど……』
「あ〜悪いんだけど俺帰るときに男友達に捕まっちゃって……泊まることになっちまったから」
『え〜!じゃあ、帰れないの?』
「ああ、ごめん……明日学校行く前には帰ると思うから…それじゃあ!」
俺は返答を待たずに電話を切った。
返ったら怒られそう……。
美優の怒っている顔が頭に浮かんだ。
あまり、怒らない性質だがこればっかりは怒りそうだった。
「家族?」
携帯をポケットにしまったら音姫から話しかけられた。
「えっ……ああ、妹だ」
「そう……」
音姫が少し俯き目が悲しそうで俺は気になり問いかけた。
「どうしたんだ?」
「えっ………私には家族がいないから……」
音姫は「聞かれるとは思わなかった」という顔をした。
それを聞いてなんだか申し訳ないような気がしてならなかった。
「ごめん…知らなくて」
「いいよ別に……もう、五年になるかな……父と母が死んだのは…」
それを聞いて俺と似ていると思った。
それが分かるとなんだか何もしない自分がむなしくなり俺は音姫に近づいた。
あまり、進む気はしなかったが俺はそっと音姫の頭に右手を当てて優しくさすった。
音姫は触られた瞬間びくっと肩を震わせてこっちを見た。
その目には少し涙が浮かんでいた。
「な、何……ど、どうしたの、龍真?」
「いや……その…ち、ちょっと辛そうだったから……」
「それでなんで……頭を撫でるの?」
「そ、それは…妹が泣いたときよくこうやったら簡単に泣きやんだから」
俺はちょっとあせった。
いや、ちょっとではなくかなりだ。パーセントで示すと9が二個並ぶ、横に。
妹が以外の女の子にこんなことをしたのは初めてだからな……。
音姫はどう見ても俺より歳が小さいと思ったからな。
「そ、そう………結構、効果大よ…ふふ」
褒められた?
こんなことで褒められてもあんまりうれしくないのは気のせいだろうか?
その後五分ぐらいそうしていると
「じゃあ、そろそろ行きましょ」
「ああ、俺は明日の朝七時までなら何とか大丈夫だから、手短に済ませてくれ」
「わかったわ」
そして再び俺たちは歩き始めた。
十分ほど歩いているとだんだん道も綺麗になってきて地上からの光が少しだけ入ってきていた。
「もう、そろそろ着くわ」
その言葉で俺は少し不安になり音姫に聞いてみた。
「なあ、本当に俺が何故エレメントハマニティなのか分かるのか?」
そのとき音姫の足が止まった。
そして俺はその背中に軽く衝突した。
振り向いた音姫の顔はこれまでとは打って変わって怖い顔となっていた。
「ここから先に進んだらもう戻れないわよ?」
「………………………………」
俺は考えた。
確かに自分が何故エレメントハマニティであるかは知りたい。
だが、彼女の言う『戻れない』とはどういう意味なのだろうか…。
さっきの部屋に戻れないということ?
それとももう普通の生活には戻れないということか?
悩んだ挙句音姫に聞いた。
「戻れないって……元来た道を戻れないってことか?」
俺は少しだけ振り向いた。
振り向いた先には真っ暗な道があった。
「違うわ……」
「戻れないっていうのは普通の生活に戻れないってことよ」
最悪だ。何せ悪いほうの予感が当たってしまったのだから…。
「どうする?このまま自分のことを知りたい?それとも知らずに今までと変わらない生活を送る?」
一瞬…ほんの一瞬だけ音姫が悪魔に見えた。
いや、小悪魔かな。
「この先へ進んだらこれからの生活はどうなるんだ?」
「それはあなたしだい」
音姫は不適な笑みを浮かべながら答えた。
予想通りの回答だった。
つまり、どちらか一方は先もだいたい予想がついていて安全、だが、ほしい情報は手に入らない。
もう一方はこの先何も予想がつかず未知の未来そして自分が不審に思っていた情報が手に入る。
まさに天秤だった。
だけどここまで来て引き返す気はまったくなかった。
天秤に乗っている重さは決まっていた。
「分かった。俺はこのまま前に進む」
「覚悟できたようね……あけるわよ」
俺は息を呑んだ。
そして鋼鉄の扉が開かれる。
そこは緑色の光に包まれていた。
部屋の中には至るところに試験管のようなものがあった。
「な……なんなんだ……ここは?」
見渡す限り研究に使うものばかり。三角フラスコやガスバーナーを思われる筒状のもの。
さらにさまざまな色の薬品が入った小瓶が幾つも。
少しだけ吐き気がした。
「ここは……遺伝子に直接エレメントの遺伝子を組み込まない方法以外にエレメントハマニティを生み出そうとしていた
研究所よ」
直接エレメントの遺伝子を組み込まない……エレメントハマニティ……。
俺のこと…………?
「うぅ!!」
そのとき心臓に突如として痛みが走った。
部屋の中心部で怪しく光っている黒い物体もドクン、ドクンと動いているのがかすかに分かった。
「反応している……!?」
音姫がつぶやいたのがうっすらと聞こえていた。
見ている光景がかすんでくる。心臓の痛みは未だに衰えを知らない。
そしてもう一回黒い物体がドクンと大きく動いたかと思うと目の前が真っ暗になった……。



真っ暗の目の前の光景に一人の少女が浮いていた。
体中が紫に輝いていてとても幻想的な少女だった。
そして彼女は俺にこう言った。

アナタハダレ?……。