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彼女の声は俺の頭の中に響いてくるようだった…。
いや、心の中って言ったほうが正しいのか…。
アナタハダレ?……。
また、声が響いてきた。
答えないでいるのもいやなため答えた。
「俺は矢倉神龍真」
ヤグラガミロウマ?
「うん、そうだよ」
ワタシハマナ
「マナ?」
俺はその名前……というかその『マナ』という言葉をどこかで聞いたような気がした。
ソウ。セカイのエレメントトヨバレテイルモノのチカラをカンリシテイルモノノヒトリ。
「で、でも、なんでそのマナがこんな少女の姿で?それになんで俺の前に?」
ソレハ、アナタノコドウヲカンジタカラ。
「俺の?」
ソウ、アナタノエレメント…ヤミノゾクセイヲモッテイルアナタノ。
「………」
正直言って俺が闇属性なのは知っていた。
闇属性は決して良い属性というわけではない。
むしろ悪い。闇は強い力を有しているがそれだけ力に染まってしまう可能性も高い。
だが、それを抑制するのは自分でしかない。
アナタハコレカラタイヘンナウンメイヲタイケンスルワ。
「キミが見えていて話している時点でもう大変だよ」
クスクス
そのときマナの赤い体が一瞬だけ強く光った。
フウインヲトイタノ。
「えっ?」
封印?何のことだ?
マタチカイウチニアウトオモウヨ
「お、おい!マナ!!」
そのときマナが消えてまた目の前が真っ暗になってしまった。


第参話 星の天使

目の前が真っ暗になって何分経っただろうか?
そもそも、気を失っていたのだから時間が分かるはずがない。
重いまぶたを開けると音姫が顔を覗き込んでいる。
「あっ、気がついた?」
見れば分かるだろうと突っ込みたかったが心配している相手にそれはないので黙って頷くことにした。
上半身を起こして立ってみると意外にも痛みはどこにもなかった。
「痛みは?」
「まったくない……不思議なもんだよ」
そのとき俺の目には不思議なものが映っていた。
無論、音姫にも映っているはずなのだが……。
さっきまで黒い物体が浮かんでいた所に黒い鍵が置いてあった。
俺は近づいて手に取って見るとそれはすごい装飾のついたすごい鍵だった。
真ん中には黒い鍵には似合わない白い宝石がついていた。
「真珠か?」
そう思って近づけて見ていたらいきなり横から奪い取られた。
「違うわよ……」
音姫だ。
俺がせっかく鑑定モードに入ったというのにいきなり取りやがる。
「これ真珠じゃないわ……ネフライトよ」
「ネフ…ライト?」
その宝石は聞いたことがなかった。
この宝石に対して音姫が説明してくれた。
「ネフライトと呼ばれる宝石は最近発見された宝石でダイヤモンドの亜種なの。
それでエレメントビーストが生まれて一、二年で発見されたらしいわ」
「それで……?」
「ダイヤモンドの亜種というけどダイヤモンド以上に値打ちがあるの」
「意味とかはないのか?」
「確か意味は…………白くて綺麗だけど初めて見つかった地方では『黒い天使』と呼ばれていたらしいわ。
そして。意味は『黒い翼』っていう意味じゃなかったかしら」
「黒い翼……」
俺は鍵からその宝石を外した。
手元にあるネフライトと呼ばれた宝石は鍵にはまっていたとき以上に光り輝いていた。
まるで『待っていた』と言っているかのようだった。
そのとき部屋のある方向でまばゆい光があった。
俺は朝陽かと思ったがそれはある一つの扉が光っていただけだった。
そこに俺は近づくと光は少し弱まっていきそして消えた。
「ドアノブが劣化しちゃってるな……」
俺は壊れないだろうなと思いながらドアノブを力づくで引っ張った。
だが、バリッ!!といやな音がしてすぐに手を離した。
手のひらを見てみると劣化したドアノブの錆びた鉄の粉がついていた。
「駄目か……」
「その扉はわたしが来たときから鍵がかかってるの。その鍵じゃない?」
「これか……」
俺はドアが壊れない程度の力でうまく鍵を差込、回した。
するとガチャという音とともに劣化したドアがゆっくりと開いた。
その部屋は劣化したドアに似合わずすごく綺麗で神々しいという感じがあった。
そして部屋の真ん中には長さ一メートルぐらいはあるだろうかという剣らしきものがあった。
それは少し輝いていた。
「なんだろうあれ?」
「ここからじゃよく見えないわ……もう少し近づいてみましょう」
「うん」
俺と音姫は近づいた。
すると剣は光り輝きだした。
そして俺の目の前には現実では信じられないものが映し出されていた。
それは蛇のようでトカゲのようだった。
でも、なぜかその背中には巨大な翼があった。
そして顔のような部分は凶暴そうな顔で口にはするどい牙が見え隠れしていた。
「なんだ……これ?」
「龍よ……それもただの龍じゃないドラゴンよ」
「龍……これが……」
RPGのゲームやTVアニメでも時々でてくる伝説の獣としてその名前は知っていた。
だけど、それは空想のものであってまさか実際に存在するなんて思わなかった。
『長い、眠りからようやく覚めた……』
「長い眠り?」
俺はそれが気になり思わず大声で言ってしまった。
すると、ドラゴンはこっちを向いて
『お前か……われを目覚めさせたものは!?』
そのとき偶然か『ドラゴンは気が短く、凶暴』という説明をゲームで見たことがあったのを思い出した。
「そうだけど……」
ドラゴンはその巨体を地上に下ろし頭だけを俺の目の前に持ってきた。
そしてこう言ってきた。
『お前が目覚めさせてくれたのか……礼を言う』
「えっ?」
礼を言う?どういうことだ?
いくら人間じゃなくても眠りを妨げられたら怒るだろう…普通は。
そう思った途端龍は
『われは長い間封印されていた。だが、理由は分からんがお前のおかげで封印が解けた。礼をいう』
ドラゴンは頭を下げた。
龍に感謝される……。
あまり…というかめったにないことだ。
そもそも、俺が初めてかもしれない。
そして頭を上げた。
『お前は名はなんという?』
「俺は……矢倉神龍真だ…」
『龍真?……………不思議だ……どこか懐かしい……』
「お前の名前は?」
『われか?……われは……忘れた』
「忘れた?」
名前を忘れたというのはちょっと大変なことだ。
『千年近く封印されていたからな』
千年…なんという途方もない月日だと俺は思った。
そのとき音姫が近づいてきた。
『何者だ?』
「心配いらない。俺の……友達だよ」
『そうか……』
音姫が俺に近づいてドラゴンにこう言った。
「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」
『なんだ?』
自己紹介もなしにいきなり質問されたらこのドラゴンが怒るかなと思ったがそんなことはなかった。
たぶん、自覚しているのだろう。
「あれは何なの?」
音姫が指差した先はいまだなお光り輝いているそのソードだった。
『あれは……われとともに……われのもとに永久にあり続ける力……ルガーソード』
「龍に守護される剣か……」
音姫はその剣に近づいて柄に触れた。
だが、そのとき光はいっそう強くなり音姫の手を弾いた。
「いたっ!!」
音姫は弾かれた指を抑えた。
それを見た龍は
『無駄だ。その剣は我と我と契約を交わしているものしか触れることはできない』
「わたしと契約は無理なの?」
『手を貸せ』
ドラゴンの少しゴツゴツした手が音姫の手に触れた。
すると何も起きなかった。
『無理だ、我とは反りが合わん。お前はどうだ?龍真?』
気づいたときにはドラゴンに手を触れられていた。
そのときだった。
俺の意識の中にある小さな光が光ったような光景が目に浮かんだ。
それと同時にポケットが熱くなった気がした。
見てみると中にあったネフライトがこれまでにないほど光り輝いていた。
『それはネフライト!?』
「?……そうだけど、この扉の鍵にはめ込まれていたんだ」
『そうか……マナの奴…手がうまいな……龍真、我と契約しろ』
「お、俺が!?」
『ああ、そうだ。お前となら契約できる。我を目覚めさせたのもお前だ』
「目覚めさせたって……俺はただ鍵を開けて中に入ってきただけだ」
『そうだ。その結果お前の鼓動を感じて我は封印から解かれた!』
俺はドラゴンの目を見て思った。
これはもう断ったら間違いなく食われる!
そう思い俺はしぶしぶ
「分かった……契約……するよ」
するとドラゴンは頭を低くした。
そこには手のひらにある宝石と同じネフライトがあった。
俺はそのネフライトに手のひらにあるネフライトを近づけてみた。
そうすると持っている俺が眩しいぐらい光り輝いていた。
「すごい……まぶしい……」
『共鳴している……やはりな、我のネフライトに触れてみよ』
俺はまぶしくよく見えなかったがそのネフライトから感じる鼓動を頼りに手探りでドラゴンの頭に触れた。
そして手の感触が少し硬いものに触れたと思うとまばゆい光が収まった。
「あれ…光が……」
『これで契約成立だ。その宝石を持っているかぎり我の守護を受けられる』
「守護?」
俺は守護と言われた瞬間守護霊のことをイメージした。
こんな大きいドラゴンが背後にいると疲れそうと思った。
だが、次のドラゴンの言葉でそのイメージは役立たずとなった。
『守護とは我、闇龍の力で守られるのだ。多少の傷は自己修復ができる』
「自己修復って……なんだ?」
俺は音姫に振り返った。
そうしたらため息をついた。
何?あれですか?もしかして自己修復って言葉を知らないと生きてちゃいけないんですか?
ため息をついていた音姫が俺に説明してくれた。
「自己修復っていうのは自動的に回復……つまり治るってことよ」
「傷が?」
「そうよ」
「そりゃ、問題だ……」
「な、なんで?」
音姫がそれは不思議そうに俺を見た。
そりゃ、そうだ。
だって、傷が自動的に治るなんてものすごい便利だ。
だけど、学校に通っている俺としてはちょっと……。
「学校に行ってバレたらどうすんだよ?」
「う〜ん…………バレたらバレたでなんとかして」
『なんとかして』って俺の一番嫌いな言葉なんだけどな〜。
まいっか。
『それと我の守護を受けているときは危険を事前に薄くだが察知できる』
「ってことは危険を未然に防げるってことか?」
『そうではない、分かったところでそれを防ぐ力がなければどうしようもできない』
「そうか……」
ドラゴンはルガーソードの方向を向き
『さて、あれを抜いてみろ、龍真』
「お、俺が?」
『そうだ、我と契約をしたものならば握れるはずだ』
俺は少し不安になりながらもそのルガーソードの柄に手を伸ばした。
すると反発されるどころか剣が『抜け!』と強要しているようなものを感じた。
勇気を出し柄に触れる。勇気がいるかどうか分からないが…。
そうすると光発し力を入れても居ないのに抜ける。
しかし、剣は光の球体になると俺の胸の中に消えた。
いや、入ったといったほうが正しいのか。
「どうなったんだ?」
『ルガーソードはお前の心の中に入ったのだ。これでいつで取り出せるぞ。剣を使いたいと願えば』
俺はためしに考えた。
剣を使いたい。ルガーソードをこの手に出したい!
そう強く願うと右手が光ったと思うと深い青色の少し重い感じのなる剣を右手で握っていた。
「これがルガーソード……」
『そうだ……おっと、時間がやばいのではないか?』
俺はふと気になり携帯の時計を見る。
するとすでに朝の四時を回っていた。
「やばい!!時間が!!」
「えっ!?もう、そんな時間?」
ドラゴン翼を広げた。
その翼は部屋の両端に届きそうなくらい大きかった。
『時間がないというなら送っていこう。二人とも翼に近づけ』
俺と音姫は翼に近づいた。
片方の翼に俺、もう片方の翼に音姫が立った。
両方の翼は俺と音姫を包み込むようにした。
「一体、何が始まるの?」
音姫は不安そうにそうつぶやいた。
この無駄に広い部屋にはその声が大きく反響する。
そんなことを考えていると次第に意識が薄れていった……。


俺は目が覚めた。
「はっ!!ここは……?」
俺はあたりをあせって見回した。
そこには見慣れたハンドガン『バニッシャー』が壁からかけてあった。
そしてその隅にはドラゴンから与えられた。ルガーソードが壁に立てかけてあった。
「ルガーソード」
俺はその名をもう一度口にした。
すると少しルガーソードが光ったような気がした。
まあ、気のせいだと思うけど。
俺は窓を見るとカーテン越しに朝陽が射しているのに気づき慌てて時計を見る。
すると六時近くだった。
「……な、なんだ…まだ、六時近くか……良かった」
そうつぶやき再び枕に頭を預けた。
「ふう……夢じゃないよな…ルガーソードだってあるんだし」
実際俺は昨日?今日?……そんなことはどうでもいいが鮮明に覚えていた。
ドラゴンの顔も……ルガーソードが安置されていた部屋も……。
もちろん、音姫の顔も………。
そのとき俺は枕の寝心地があんまり良くなかったから枕の下を見てみた。
そこには白い宝石である『ネフライト』があった。
「やっぱり、夢じゃない」
『当たり前だ』
いきなり、聞き覚えのある声がしたから俺はちょっとびびった!!
心臓が少しドキドキしている。
『何を驚いている?我だ、闇龍だ』
そのとき俺はあることに気づいた。
「名前はないのか?」
『闇龍という区別はあるが名前はない』
「そうか…………じゃあ、俺が名前つけていいか?」
『別に構わないが……何かいい名前があるのか』
そう言われると思わず考えてしまう。
名前をつけたのは母に言われ妹につけたのが初めてでそれ一回きりであった。
闇……紫色……暗い
暗いと言えば宇宙?
夜空?
夜空といえば星?
そのとき星で考え付いた。
「ラティエルはどうだ?」
『どういう意味なんだ?』
このドラゴンは意味が重要なのか!?
ドラゴンの癖に人間っぽいと思った。
「ラティエルは確か……星や星座司る天使の名前って聞いたことがある」
『星か……良い、少し気に入ったぞ』

ワレハイマホシノナマエヲサズカッタ