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まったくもって気分が優れなかった。
闇の謎の組織にハデス…闇の大災害。
すべてが嘘のように聞こえる。
実際嘘であってほしい。
また各地で特に周辺の地域の周りでエレメントビーストが激化している。
それと関係があるという。
まったくわけが分からない。
こんなときこそマナと話をしたかった。
今の事態の真実を。

第七話 あふれる獣と前触れ

あの後家に帰った俺は美優と音姫の二人にあの話をしてみた。
知っているかもしれないし知らないかもしれない。
だけど話をすることによって何か変化があるはずだ。
「二人に話しがあるんだけど」
「「なに?」」
「結構長くなるんだけど…」
俺は昔話をするおじいさんのような気分になった。
なぜか、あの話がとてもなつかしく知ってそうな気がしていた。
知らないはずだけど………。
俺の首からかけられているローマ数字のZのペンダントがチャリンと傾いた。
それを合図代わりにして話し出した。
「これは伝説の話だ……信じる、信じないはお前たちの勝手だぞ」
「分かったから早くしなさいいよ」
俺は頷き本の伝説の内容を菫さんから教わったものをそのまま話した。
手が汗ばみ少し震えていた。
だが、言葉は普通に振るえもせずに俺の口から発せられる。
『遥か昔2000年以上も前のこと……一つの闇の謎の組織があった。
その闇の組織はもっと昔2万年も昔に実在した本物の闇の帝王『ハデス』という究極の霊獣を召還した。
その『ハデス』という霊獣はすごい闇の力を持っており闇の謎の組織でさえも操れなくなり暴走を初め自我を確立。
霊獣ではなくなった。
しかし闇の謎の組織の一員である一人の少年が互角以上の闇の力でねじ伏せた……こうして再び霊獣『ハデス』は自我を
崩壊。 そして封印され二度と歴史には現れなかった。
だがハデスは再び復活した。しかし霊獣ではなく人としてだった。
その人物の名前は『ハドス』。闇の力を使い。数々の悪行を重ねて世界を恐怖のどん底に陥れた……だがやはり人間なのか寿命により滅んだ』
話終えたあと少しだけ後悔の念が走った。
音姫はこの手の話が大好きというか興味深いと思うのと思う。
だが美優は違う。
あいつは昔っからホラーや怖いものが大嫌いだった。
ましてや闇の謎の組織や闇の帝王『ハデス』。
闇の帝王って時点でなんだか怖い雰囲気をかもし出している。
そこで俺はあることに気づいた。
実在したしないにかかわらずハデスは人間に2000年以上も経った今でも恐怖というものを残している。
だが、次に美優の口から発せられた言葉は恐怖の言葉でも信じないという否定の言葉でも信じるという肯定の言葉でも
なかった。
「『霊獣』って何?」
「あれっ?そっち?」
いまさら霊獣なんて聞かなくてもいいことだと思う。
それはいち早く音姫が美優に説明している。
だいたいの内容はあっているから俺は特に口出しもせず、また説明を自分でするというのもしなかった。
ずばり俺の頭の中の霊獣のイメージというかなんというか…まあ、そんなものはこうだ。
『霊獣』
それは古来よりから存在しているといわれる理(ことわり)の力を利用し心の能力を魔物のなどのさまざまな生き物の形に
変えて 自分の代わりに戦ったりさせるのである。
だが、最近分かってきたことだが心の能力だけでなく宝石や壷、遺跡などの絶大な力を使って誰かが作り封印したものを
復活させ 自分のものにするといった方法も古来よりされてきた。
だが、エレメントの力により最近はわりと訓練すれば簡単に形成できるようになったが実際強いものを求めるにはやはり
心の力を 強めるしかないということだ。
ちなみにすべて昨日夜眠れずに聞いていたラジオの特番で放送されていた解説者の文句だ。
まあ、要するに心を具現化したものだってことかな。
同じようにさらに事細かに説明を美優にしている。
美優もふむふむといった感じで熱心に聞いている。
俺は終わるまで待っていた。
しかし特番の解説者以上だ……。
「と、まあこんな感じね。長くなっちゃったけど」
「うん、分かりやすかったです音姫さんのお話」
「まあ、分かったところで……」
一呼吸おいた。
「あの伝説って話だけど…………どうだ聞いたことあったりしないか?」
「う〜ん…私はないけど…そんな話」
「私もないわ。けど私が知らない伝説なんて興味あるわ!」
「お前はアホか」
「な、なによ、いきなり人をアホ呼ばわりして!!」
いきなりキレやがった。
セイセイセイ。
キレるな。
俺はそんな音姫をほっといて一階に降りた。
「ど、どこ行くのよ!?」
「晩飯。それとも食わないのか?」
「た、食べるわよ」
「そうか、美優手伝ってくれ」
「はぁい」
美優も俺の後をついてくる。
ラティエルにも音姫と同じ部屋にいてもらった。
まあ、音姫ならラティエルと話ても違和感を感じないから。
それにラティエルならハデスのこと何か知ってそうだし。


俺はたまねぎを切っている。
しかし目が痛い。
涙は出ないが痛い。
美優はにおいをかいだだけでも泣いてしまうといい俺が切ることになった。
晩飯はカレーだ。
美優はちょっとにんじんを危なっかしく切っている。
引越し初日に朝飯を作ってくれたのが嘘のようだった。
「お前大丈夫か?手切るぞ?」
「だ、大丈夫。いつもこうだから………いたっ!」
ほらやった。
包丁は美優の細い指をスパっと軽く切った。
切り傷程度だった。
俺はたまねぎから目を離し美優の手を持ち指を見た。
「ありゃりゃ……まあ、このぐらいだったら絆創膏でも張っておけば治るだろ……痛むか?」
「う、ううん……へ、平気」
俺は指を抑えてろと言うと絆創膏を取ってくる。
美優は黙って抑えている。
ちょっと頬が赤い。
まあ、気のせいだろ。
俺は絆創膏を美優の指に巻いた。
「これで大丈夫だろ。気をつけろよ。包丁って切れないようで指を切断できるんだぞ」
「う、うん」
今の時代は便利になって包丁はあまり使わなくなった。
料理用カッターというものが開発されたのだ。
食品以外は切れないようになっているらしい。
よくは知らない。
再びたまねぎを切る。
目が痛くなりすぎてチカチカする。
だがようやく終わり他の食材もいれ最後にルーを入れる。
「龍真!!風呂は!?」
「美優が入れたはずだけど……」
「じゃあ、入ってくるわ!!」
着替えは美優のを使っている。
たまにしか見れないものが見られて俺は結構楽しい。
しかしルーを入れた直前に音姫が風呂ということは飯を食べる時間は十分は遅れることになる。
だがそのとき電話が鳴った。
俺はその電話にすばやく出る。
「はい、矢倉神ですけど……」
『ナンバーZ……貴様に伝えたいことがある』
「!!」
電話の相手はドスの聞いた暗い声。
あまり聞きやすくはない。
だが確かに今ナンバーZと口にしたはずだ。
またZのペンダントがチャリンと傾く。
『時は満ちた………お前はもう“逃げられない”』
「えっ?…………」
そのとき電話が切れて『プープープー』という音だけが聞こえてくる。
俺は受話器を置いた。
あたりが静寂に包まれる。
「どうしたの?」
美優は少し慌てて俺に歩み寄ってくる。
途端に俺の額に汗が噴出した。
呼吸が乱れる。
胸騒ぎが強くなる。
『学校よ……』
そのとき音姫でも美優でもない声が聞こえた。
もちろんラティエルではない。
だが聞き覚えのある声。
この声は……!
「マナ……」
俺は自分にしか聞こえないぐらいの音量で言葉を発した。
あのとき会話をしたマナの声に聞こえた。
この前はカタコトだったが今ははっきりと聞こえてきた。
『学校に強い力を感じるの』
そのときだった。
美優の服を着た音姫が勢いよく廊下を走って俺のところに駆け寄った。
「どうした?」
「な、なにか感じる!!なんかすごく怖いような力」
「行くしかないか……」
俺はある鍵を取り出した。
車のエンジンキーである。
「それって車の鍵でしょ?」
美優が言うが俺は迷わずポケットに入れる。
運転の仕方は義理の父から教わっていた。
あまりマジメに聞いていなかったがたぶん大丈夫なはずだ。
俺は家のドアを開けた。
音姫も美優も驚いている。
俺が気でも狂ったかとでも思っているのだろうか?
俺はマジメだ。
マジメに怖い。
「どこ行くの?」
「学校だ」
「こんな夜に?」
「ああ、なんだか知らないけど何か感じるんだよ」
「なら、私も行くわ!」
そういうと車庫に止めてあった車の助手席に乗った。
ちなみに普通の乗用車だ。
俺は運転席に座った。
「美優も乗れ!こんなところに一人でいるほうが危ない」
「う、うん」
俺は美優がジャンパーを取ってくる間にハンドガンを渡した。
「とりあえずこれ渡しておくよ。あのナイフだけじゃいざってときにどうにもならないだろ?」
「弾はあいにくそれに入ってるものしかない」
「まあ、ないよりはマシか」
「そういうこと」
そして美優が後部座席に乗り俺はエンジンをかけた。
するとブオンという音とともにエンジンがかかる。
「お兄ちゃん、運転できるの?」
「まあ、一応父親から聞いたけど真剣に聞いてなかったからな」
俺はアクセルと思われるペダルを踏んだ。
すると動かないではないか。
「あ、あれ?」
「それブレーキじゃない?」
「そ、そうか……じゃ、じゃあ」
俺はその隣のペダルを踏むと車が勢い良く発進する。
塀にぶつかるといけないのでハンドルを切る。
そして学校に向かう。


学校の周りにはもやもやとしている雲みたいのがあった。
その下、つまり校庭にはうごめくものがあった。
赤い眼が無数にうごめいている。
はっきり言って気持ちが悪い。
車を学校の少し前に止めると俺は校庭に向かって歩き出した。
それを見た美優はとめようとするが
「あそこに行かなきゃ」
「で、でもあれたぶんエレメントビーストだよ」
「でも俺は行く!行かないと学校がそれに何かあるんだ。絶対何か!」
俺がそういうと美優は残念そうに手を離した。
「三十分して戻らなければ音姫運転して帰ってくれ、キー渡しておくから」
「ええ、分かったわ」
「音姫さん!!」
「まあ、信じてみましょう。あれがエレメントビーストなら結構大変な事態だと思うわ」
その声は特に最後の方はもう小さくなっていた。
俺は校庭の方へ歩き出していた。
歩くたびに足が緊張により震えた。
でもそれ以上に校庭に行かなきゃいけないという意思が強かった。
校庭に続く階段の上にようやく到着した。
だが、そこには先客がいた。
全身紫色の女性だ。
「だ、だれ?」
「ようやく会えたね。ロウマ」
その女性の見つめる先には溢れんばかりのエレメントビーストがいた。
俺はつばを飲み込んだ。
いまさらながら死への恐怖がこみ上げてきた。

モウオレハニゲラレナイ