ダークグラウンド 第壱話
三千五百年……人類は地球外生命体の因子を北極と南極から採取した…。
四千年………人類はその因子の増殖に成功…様々な生き物に投与していった。
これによりこれまでとはまったく違った生物が生まれた…後にこれらの生物を『エレメントビースト』と呼ぶようになった。 意味は特殊な力を持つ獣である。
五千五百年……エレメントビーストを保管していたところからエレメントビーストが大脱走。各地で被害が相次ぐ。
七千年………人類はその因子を生まれてくる赤子に投与するという禁断の実験を行った。
それにより誕生した新たな人『エレメントハマニティ』と呼ばれるようになった。意味は特殊な力を持つ新人類である。
七千三百年……エレメントハマニティの研究はより進み、普通の人類とかけ離れた運動能力、
普通の人類よりはるかに優れている頭脳。
そして謎の力……ジラース…………。


第壱話 運命の開始時刻


ジリジリジリジリ……
俺はこの目覚し時計のウザったい豪快な音とともに引っ越して初の朝を迎えた。
「うぅ…ねむ〜……でも今、起きないとなぁ〜」
目覚まし時計の時間を見るとすでにぐずぐずして2分は経ってしまったらしい。
いけない、いけないさっさと起きないと美優(みゆう)に怒られる。
俺はだるい体をなんとか起こしてねぼけ眼で高校の制服に手を伸ばしそれに着替える。
制服に腕を通すがなんかなつかしさを感じてしまう。
実は俺は制服に腕を通すなんて四年振りだ。四年前、俺は教師一人を殺害し少年院に入らされていた。
高校行くのにも親から不安の目を向けられていたが『勉強の方なら大丈夫、少年院でさせられてたから』
と軽く言ってOKをもらったが、
依然として親からは不安の目を向けられていた。俺はそのことに切れて叫んだ。
『本当の親でもないのに、いまさら親面しないで欲しいね!!』
そんなことで今は親とは別居している。
義妹である美優は俺に断固として付いていくと言うのでしかたなく一緒に住むことにした。
そんなこんなで引越しをして昨日はフルスピードで荷物を整理して早々に寝た。
制服に袖を通しただけでこんなことを考えてしまってはダメだなと思いながらもズボンを履きベルトを締め、
美優が待っているであろう一階へと向かった。

一階
一階では美優が台所で何かをしていた。おそらく朝食を作っているのだろう。
案の定俺の予感は的中した。それが解った理由は俺が階段を下りたと同時に振り向いてテーブルに皿を並べたからである。
「あれ、朝食作ってくれてたんだ?」
美優は俺の言葉が嘘だと言わんばかりな表情で俺を、俺の瞳を見つめながら
「うん、はじめてなんだけど…ね」と少し頬を紅葉させながら言った。
すぐに美優は俺に背を向けて準備の続きに取り掛かった。
俺はテーブルに隣接している椅子に座り新聞を広げて黙って読みふける。
ふと俺は気になったことを美優に聞いてみた。
「俺と一緒に来たこと後悔してないのか?」
それを聞いた俺の頭の中には絶対付いていくと聞かない美優の姿が映し出されていた。
あのときは泣きじゃくりながら『お兄ちゃんとは離れたくない!!』って言いながら俺に抱きついていたな…。
「どうして?」
 不意に美優から返答が来た。俺は少し戸惑いながらもそれに答えた。
「どうしてって……俺と一緒じゃ決して裕福な暮らしはできないよ」
「関係ないよ、裕福だろうが貧乏だろうが…お兄ちゃんが側にいてくれたら…それだけでいいから…」
信頼されていると捉えていいのだろうか?
「はい、できたよ」
俺がそんなことを考えているうちにテーブルには朝食にはちょっと豪華すぎるんじゃないか?
というぐらいの料理が並んでいた。
内容としては鮭の焼いたものと目玉焼きとベーコンとそれから適当に野菜を入れたサラダ。
「うまく、できたか分からないけど…」
「おいおい、同居して一回目の記念すべき朝食にそれはないぜ」
俺はまず一口目玉焼きを食べてみた。ちなみに俺は醤油派だ。
「…………」
「どう?…おいしい?」
「うん、結構イケてるよ」
「えっ、ほんと!?」
美優の顔はぱぁっと明るくなる。感情の分かりやすいやつだ。
そして早々に残りをたいらげた俺は学校まで自転車で向かった。初登校というやつである。

村雲学園

ここは俺が通うことになった、というかなっている高校である。ちなみに『村雲』という名前の由来は謎だ……。
先に職員室に向かい先生一同に挨拶する。こういうのは苦手だったが案外すんなりと出来た。
そして2−Aの担任である『大衡信夫(おおひらしのぶ)』という先生について行き教室へと案内された。
そして教室
「え〜今日は転入生を紹介する、さ、入ってきたまえ」
「はい」
俺は廊下で返事をして教室のドアを開ける。
ガラガラガラという教室のドア特有の音がして俺が中に入る。
俺はあたりを見回した。
俺を熱心に観察(?)している者、転入生?そんなもんは知らんといった顔で無視している者、
俺を睨みつけている者と多種多彩の反応があった。
「じゃあ、自己紹介を」
先生に言われ俺は何の変哲もない自己紹介をした。
「矢倉神龍真(やぐらがみろうま)です。ちょっと変な名前ですがみなさんよろしく」
やっと終わったと思っていると一人の髪の色は茶髪で瞳の色は空色で髪をストレートで肩まで伸ばしている
(校則違反じゃないのか?)
少女が立ち上がり俺をまっすぐ指さしてこう言った。
「も、もしかして、中一のとき教師相手に傷害事件、龍真君!?」
その時教室にいた生徒半数以上が少女を見てから俺のほうを見た。
「そうだけど……君、誰?」
「もう、覚えてないの!?小学校のときからずうっと一緒だった七ちゃんを忘れたの!?」
「七ちゃんね〜……」
俺が教卓の前でずうっと考えていると不意に先生が「もう、席につきたまえ」と言ったので少し先生に不満の目を向けて
一番後ろの窓際の席についた。
朝のホームルーム(以後HR)が終わって休み時間になると待っていましたとみんな言わんばかりの顔で俺の席の周りに
アリのように群がる。
「ねえねえ、家はどこだ?」
「彼女いる?」
「家族は?何人?」
「前はどこに住んでたの?」
「何か、特技ある?」
「好きなものは?」
俺は一つずつだが答えていった。
「家は八丁目…ちなみに一軒家」
「いない…」
「一応、父親と母親と妹、今は両親と別居中」
「前は…東京かな」
「特技ねぇ〜…一応射撃と剣術かな」
「好きなもの、たくさんあるけど、食べ物なら魚類かな」
俺は耐えかねなくなり屋上に逃げた。

屋上

俺は屋上にあるフェンスにもたれかかりながら考え込んでいた。
さっきの少女が一向に思い出せない。七ちゃん?そんなやついたっけな〜?
「さ〜て思い出したかな?」
俺はその聞き覚えのある声にとっさに振り返るとあの少女が笑いながら立っていた。
「何で、俺がここにいるって分かったんだ?」
「ろう君の考えそうなことはたいてい分かるよ」
「俺ってそんなに単純なのかな?」
「う〜ん……ある意味…ね」
俺は単純だったのか…そういえば思い当たる節がいくつかあるのは気のせいか…。
「そろそろ、教えてくれよ、君は一体誰なんだ?」
「もう、しょうがないな〜」
そう言って俺の方を向いて言った。自分の名前を…。
「浅月七穂(あさづきななほ)よ、ろうくん、久しぶり」
浅月七穂……あさづきななほ……アサヅキナナホ…
俺の頭の中に徐々に昔のことが蘇ってきた。
「あー!!!」
「思い出した?」
「ああ、思い出した、思い出した。確か俺の隣に住んでた泣き虫でうるさい奴がいたっけな〜」
俺がそれを言うと頬を赤くして『泣き虫は余計よ』とつぶやくように言った。
「でも、五年ぶりか…これからよろしくな、七ちゃん?」
俺は右手を差し出した…が当の本人は少しもじもじしながらこう言った。
「できれば……できれば、七穂って呼んでほしいなぁ」
「ん?……………オッケ〜、じゃあ七穂って呼ぶから、これからもよろしく七穂」
「うん…………」
俺たちは握手を交わすとちょうど一時間目始まりのチャイムが鳴り俺と七穂は教室に戻った。

そして昼食時間〜

「さて、飯はどうすっかな〜」
俺が伸びをしながらそんなことを言ってると一人の男子が近づいてきた。
「おい、矢倉神」
「ん、お前、誰?」
「え〜と、僕は流川十字郎(るかわじゅうじろう)っていうんだ。よろしく」
手を差し出されたので俺は握手した。
「こちらこそよろしく」
「ところで、昼飯食いにいかない」
「どこへ?」
「どこへって学食だよ」
「あ〜……よし、行こうぜ」
俺と突如知り合った十字郎と一緒に学食を食べに行った。

食堂

俺は十字郎のオススメでカレーうどんにした。
これがなかなか旨かった。学食も伊達じゃないな…。
「あ!?十字郎!」
突如甲高い声が聞こえた。その声のした方向を見るとポニーテールの髪の少女が十字郎に手を振っていた。
「知り合いか?」
「まあな、僕の幼馴染だよ」
「そうなの…」
俺は十字郎に先導されるようにさっきの少女がいた席に着いた、隣にはもちろん十字郎が座った。
「ゆきっぺ、久しぶり!!」
いきなりゆきっぺという十字郎を俺は問題発言ではないのかと思うぐらい驚いた。
「じゅ、十字郎、いきなりゆきっぺはやめてよね、ほら、そっちの子がおもいっきりひいてるじゃない」
そっちの子よばわりされた……。
それはまあ、ともかく俺とゆきっぺと呼ばれた少女は自己紹介をして彼女の名前が『大神優希(おおがみゆき)』
ということが分かった。
どうやら話によると違うクラスらしい。

〜下校時間〜

俺はよく見るとさっきの十字郎、七穂、大神は同じ方向らしい。いきなり十字郎が一緒に帰ろうなんて言ってきたから
最初は驚いた。
そんなとき十字郎が突然言い出した。
「なあ、みんな…神具(しんぐ)はもう受け継いだのか?」
「しんぐって…………あの神に道具の具って書く神具のことか?」
「そうそう!!確か力を引き出せるようになったらエレメントビーストなんて一殺らしいぜ」
「使いこなせたら!!………でしょ!?」
七穂が怒鳴る。確かに使い慣れたら強いが使いこなすまでが大変だろう…。
「そうなんだけどさ〜いつか自分がそれを受け継がれるのってなんだかわくわくしね〜?」
「まあ、そりゃあ、少しはするけど…」
「だろだろ〜?」
そんな話をしていると十字路にぶつかった。
「じゃあ、ぼくたちはこっちだから」
「おう、じゃあな十字郎、大神」
「また、明日学校で」
その後は七穂と俺の二人きりになった。
「ねえ、さっきの話の続きなんだけど………龍真君も神具が欲しいと思ってる?」
「う〜ん…………どうだろうな…俺両親と喧嘩したまんまだし…」
「そうなんだ……じゃあ、神具受け継ぐのって無理そうなの?」
「いいや、神具は実はもう家にあるんだ(笑)」
「えぇ!?」
「実は実家を出るときこっそり神具を盗み出した」
「そ、それっていけないことなんじゃ………」
「まあ、まあバレなきゃいいじゃん」
しばらく経って家についたので七穂と別れ家に入った。

矢倉神家

「はぁ〜…疲れた〜」
「遅いぞ」
俺はふと見るとそこには制服姿の美優の姿があった。
「しかたないだろ…」
「ほんとに疲れてるみたいだから今日のところは許してあげますか」
「はい、そうしてください」
俺は美優を軽く受け流すと自室に戻り私服に着替える。
そして財布と携帯と護身用のハンドガン『ブラックテイル』を持つと青いジャケットを羽織玄関にむかった。
「どこ行くの?」
そこにはすでに私服に着替えた美優がいた。
「ちょっと、買い物」
「分かった…六時半過ぎたら一回携帯に電話いれるから」
「おう……………いってきます」
俺は大きい通りに出ると道を歩き始めた。
確かこの辺にガンショップが……あ、あった!!
俺が店のドアを開けようとしたその時
ドガァッ!!
「いてて……」
どうやら何かにぶつかったらしい。瞑っていた目を開けるとそこにはツインテールの少女が俺を同じく尻餅をついていた。
年齢は俺より下か同じぐらいに見える。
俺はその少女に駆け寄り手を差し出した。
「君、大丈夫?」
「えっ……うん、大丈夫です」
少女は俺の手をとり立ち上がる。
「そうか、よかった。」
そう俺が言うと少女は頷き小走りで立ち去った。俺はそれを見届けた後ガンショップに入った。

ガンショップ『銃錬』

そこはなんとも暗いムードな店だった。まあ、銃を取り扱っているから明るい雰囲気っていうのもおかしいが…。
店の中はいたってシンプルな作りでただ大きい部屋があるだけだった。そこに定員がいて銃が無数に置かれていた。
ハンドガン、マシンガン、ライフル、ショットガン、さらには超長距離用のスナイパーライフルまでもが売っていた。
「君は初めての人かね?」
俺が品定めをしていると後ろに一つだけあるレジに三十代ぐらいのおじさんが俺に話しかけてきた。
「あ、はい。友達にここがオススメと言われて家が近くにあったものでだから来てみたんです」
「おお、そうか、そうか…きみ、経験は?」
「え〜と…七歳ぐらいにはもう銃が使えていました」
「そうか…もし君ならあれが使えるかもしれん…ちょっと待っていなさい」
あれって一体?
しばらくするとおじさんは一個の箱を持って戻ってきた。
その箱の大きさからするとショットガンかライフルだということがわかる。
「おじさん、これは?」
「……………これは我が家に伝わる神具じゃ」
「えっ………?」
「わしの家系は子供がいなくてなこの神具も今のわしの代で終わることになっていたんじゃが
…君になら使いこなせるかと思って……」
俺はおじさんがレジの机の上に置いた一つの箱を少しの間みつけたあとそっと開けてみた。
そこにはショットガンタイプと思われる銃が一挺入っていた。
「これがおじさんの家に伝わる神具」
「ああ、そうじゃ・・・・名前は確か『ヨルムガンド』とか言ったはず…」
「ヨルムガンド………かつて実在した大蛇ですね。本当にもらってもいいんですか?」
「ああ、箱にしまわれているよりも使ってもらったほうが銃の方もうれしいとおもうぞ」
「ありがとうございます」
俺はそれとショットガンの弾を一ダースとハンドガンの弾も一ダース買いこの店を後にした。
そして大通りを適当に歩いてある一件の店……というか家のようなものを見つけた。
「こんな大通りにこんなぼろいアパートがあるなんてな〜」
「悪かったわね!!ボロアパートで!!」
いきなり罵声を浴びて目の前にナイフを突き出された。
ち、ちょっと寿命が縮んだぞ!おい!
今度は首に接触した……な、ナイフが!
「ち、ちょっと待て!!」
「何よ!?」
「い、いきなりナイフはな、ないんじゃない?」
俺にナイフを向けた奴は俺の目を見たとたんに驚きの表情を見せてこう言った。
「あなた、まさか『エレメントハマニティ』?」
「!!!なんで分かったんだ?」
俺は冷や汗がにじみ出ていたのが感じられた。
俺は自分がエレメントハマニティと呼ばれるのに少し違和感を感じていたからだ。
もう一般化されている言葉なのだが俺にはどうも差別用語に聞こえてならない。
「目を見れば分かる……」
「っ!!」
なんて奴だ……人の目を見て人をエレメントハマニティだと分かるとは………。
俺は彼女に気づかれずにハンドガンを手に取ると彼女の横腹に押し当てる。
「!!」
彼女は俺の思惑通りその俺の行動に気づきナイフを懐に戻した。
俺もハンドガンを懐に戻すと彼女の顔を見た。その顔は満足気に笑っていた。
「な、なんだよ?」
彼女は付いてこいといわんばかりに少し走っておいでおいでをする。
俺は仕方なく彼女についていくことにした。
何か…何か、狙われているような気がしてならなかったからだ。
彼女が案内したのは暗い通路だった。


それにしても臭い…なんとも臭い、水が腐ったようなにおいだ。
俺は鼻で息をするのをやめた。こんなにおいをかいで体を動かすのはだるいこと極まりない。
それでも彼女についていった。ときおり何かの視線を感じながら…。


なんか足が疲れてきた…。
そんな俺をときどき振り返りながらも彼女は歩いた。俺はふと美優の言葉を思い出し携帯を取り出してみたが…。
「圏外かよ……ついてないな」
「当然よ、ここは内部から隔離されたところだから」
「一体、どこに行くっていうんだよ? いい加減教えてくれよ」
「わたしのアジトよ」
そう彼女がつぶやいた途端に不意に彼女が足を止めた。俺はそれに対応できずに激突した。
「いてっ!!」
俺は少し間を置いて彼女に聞いた。
「どうした?」
「あ、あれ……」
その声は妙にかすれていて恐怖を今まさに感じているという声だった。
俺も少し心配になり彼女の後ろから彼女の見ているほうをみた。


ソコニヤツハイタ…。