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すべては本当のことだ。
嘘でも夢でも…ましてや幻でもなかった。
俺が作られた命ということは。
あの地下の研究所で何を研究されていたかは知らない。
おそらく音姫も知らないのだろう。
『直接エレメントを遺伝子に組み込まない方法で生まれたエレメントハマニティ』
それは人間の理から外れているんじゃないのか?
もっともすでに生まれてくる赤子にエレメントを遺伝子に組み込むことが間違いだ。
だけど、エレメントビーストから子供たちを守るためにはある意味一番効果的なことなのかもしれない。
自分たちに免疫力……というか抵抗する力を持たせる。一番安全で確実な方法だ。


第四話 管理者の存在


…………朝っぱらから何考えてんだ?俺……
どうも、ラティエル……ドラゴンと契約してから考え込む癖がついたらしい。
そして昼の授業には先生に連続で当てられるという凶運。
しかも、答えられないという最悪のパターン。
これで答えられたら少しはマシだっただろ!
さらに勉強のことで先生に指導されるしまつ……。


「ああああああああああああ!!!!!!!!!!」
頭の中でストレスがはじけた。
ストレスを発散するときは叫ぶに限る!!
だが、叫んだ場所が悪かった……。
教室のど真ん中である。いきなり、俺が叫ぶから皆こっちを見る。
そんなに見るな。見ても面白くないから。
ただ、俺にしか見えていないが後ろに見たこともない巨大なドラゴンがいるぐらいだ。
『どうした?』
「極力俺に話しかけないでくれ。二人だけのときはいいけど、皆がいる場ではちょっと遠慮しろよ。
俺の声はお前の声と違って普通の人間に聞こえちゃうんだからな」
『分かった、すまん』
そう思っているとタイミングよく七穂が俺に話しかけてくる。
「どうしたの?」
ほら、かなり…っていうかすごい絶妙なタイミングで話しかけてくるだろう?
こういうときだけは話しかけてくれるのが妙にうっとうしくなる。
だが、邪険にするわけにもいかないので適当にあしらっておく。
「なんでもない……ちょっと考え事してただけ」
「そう?……でも、なんか大声上げてたけど……」
やはり、聞かれてたか。
そりゃあ、教室であれだけ大きな声を上げれば誰かが気づく。
いや、逆に気づかないほうがおかしいぐらいの大声だったか。
「考え事?」
「ああ………悪いちょっと今日は帰るわ」
「えっ?でも、まだ六時間目残ってるけど?」
「いいじゃん、気分が悪くなって早退したって言っといて」
俺は荷物をまとめて駆け足で帰路に立った。


歩きながらずっと考えていた。
何故俺がラティエルと契約できたのか……。
ネフライトを初めに触ったのが俺だから?
いや、違う、確か初めにネフライトに触れたのは音姫だったはずだ。
「呼んだ?」
突如曲がろうとしていた角から黒髪の少女音姫が出てきた。
左腕と左目にタオルを巻いて…。
「お、おい、お前どうしたんだ?」
そう俺が聞くと何も言わずにいきなり倒れそうになる。
が、慌てて抱えてやる。
「おい、音姫どうしたんだ?」
「うぅ……ち…ちょっと……エレメントビーストに……」
そういわれて何か引っかかる感じがして振り向いてみるとそこには“ヤツ”がいた。
このまえのエレメントビーストだ。
「また、お前か……」
そうつぶやくとエレメントビーストは「ガルルルルルルル」と鳴く。
いや、叫ぶというほうが声にあっている。
俺はとっさにふところにあるはずのハンドガンを抜こうとした。
だが、今は学校の帰りだったということを忘れていた。
もちろん、ハンドガンを持ってきて良いという校則はない。
「ピンチか……」
誰に言うでもないがつぶやいた。
しかし、意外な人物から答えが返ってきた。
「ピンチって…………あ、あんた銃は?」
少し痛みに顔を歪めながら音姫は俺に言った。
「学校に銃持っていくほどバカじゃねぇよ」
先生に銃を持ってきてもいいですか?って質問しておこう。
俺は状況を見て生きていたらと頭の中で思った。
そのときラティエルが話しかけてきた。
『忘れたか?いつでも、ルガーソードは取り出せるぞ』
そうだ!!
確か契約したものは念じれば出てくるんだ。
俺は音姫から手を離して念じる。
ルガーソード…俺に力を貸してくれ!
すると、妙に右手が温かくなった。
そして深い青色の剣が姿を現した。
顔の前で剣を構える。
使い方は頭では分からなかったが体が使い方を知っているような気がした。
手元にあるスイッチを押すと剣が左右に開きそこからプラズマ粒子があふれ出した。
と、同時に柄に銃のトリガーのようなものが現れた。
「これか……」
俺はエレメントビーストにそれを向けた。
そしてトリガーを引いた。
すると、そのプラズマ粒子が一直線にエレメントビーストに向かって発射された。
プラズマ粒子はエレメントビーストの額にある宝玉と体を貫通した。
エレメントビーストは倒れて蒸発した。
「はぁはぁはぁはぁ……案外弱かったな」
初めて出会ったときに苦戦したのが嘘のようだった。
「ラティエル、音姫は動けそうにないからテレポートで家まで送ってくれ」
『いいだろう……我の翼に近寄るがいい』
ラティエルの翼に音姫を抱えて近寄った。
そして俺の意識は徐々に薄れていった……。


「いや〜やっぱりテレポートは楽だ!」
俺は部屋についた瞬間叫んだ。
ラティエルがうるさいといった具合で耳を塞いでいる。
それはお構いなし!!何せ歩く手間が省けたのだ。
「うぅ………」
俺は忘れてたといった具合に振り向くと音姫が倒れている。
「あっごめん、忘れてた…」
いや、嘘じゃないよ。本当に忘れていたのさ。
これを言ったらマジで殺されかねない。
背中の部分と膝の裏を持って抱きかかえる。あとで気づいたが無意識にお姫様抱っこをしていたようだ。
本当に無意識だが……。
そして俺がいつも寝ているベッドに寝かせた。
もちろん、傷を見たいので毛布はかけてない。
「傷を見てもいいか?」
「ええ………」
まず左手のタオルを取る。すると、そこは真っ赤に腫れあがっていた。
「これはひどい……」
俺は少々気が引けたが左目のタオルを外す。予想通りタオルの目と接していた部分には血がまだ乾かないで付着していた。
「触るぞ……痛かったら言ってくれ」
俺は腫れ上がった左腕にいざというとき(いざっていうときっていつだろう?)に使えと姉貴からもらったギブスを当てて
包帯をしてやった。
「目はどうしようもないな……やっぱり医者を呼ぶか?」
「へ……平気………だ、大丈夫…」
「いや、声が平気じゃないけど」
正直言うと目の傷は俺にはどうしようもなかった。
傷に消毒薬を塗って眼帯をしてやることしかできなかった。
でも、何もしないよりマシという考えが浮かんだので特に気にしなかった。
「何か食べるか?」
「いい……少し寝るわ……」
「ああ、分かった。下にいるから何かあったら遠慮しないで呼べよ」
「……ん」
小さい返事のあと数十秒で寝息が聞こえてきた。
どうやら寝てしまったようだった。
しかし、この状況を美優が見たらどういう反応をするのだろうか……。
『誰この人?お兄ちゃんの彼女?』
う〜ん、もっともベターな展開。
『わぁ〜大変!!すぐに救急車呼ばなくちゃ!お兄ちゃん、何やってたの!?』
常識的に考えればこんな反応か?
いや、待てよ……。
『お、お兄ちゃん……い、いくら親しいからって…い、家につ、連れてこなくても、よ、よかったんじゃないかな?
ほ、ほら、わ、わたしも、い、いるし……』
これはさすがにない!
頭を左右に振って考えをなくした。
とりあえず、私服に着替えることにした。
黒いパーカーに黒いズボン、上から下まで真っ黒だ……怪しく見えるがまあ、いいだろ。
何もすることがないので銃の手入れをすることにした。
平均的な強さを誇るブラックテイル
長距離を狙うスナイパーライフル
威力が高く連射の早いアサルトライフル
そしてあの銃の店のおじさんから頂いたショットガンタイプの神具…『ヨルムガンド』
やはり並のショットガンと比べると発しているオーラが違った。
一通り布で拭いたあとアタッシュケースにしまい元あった場所にしまった。
暇を持て余していた。
『暇なのか?』
俺の暇を邪魔する声が聞こえた。
「ああ、まあな」
『何か聞きたいことはないのか?』
ああ、あるよ。いっぱいありすぎてどれから聞けばいいか分からないさ。
まあ、聞かないのもなんなので
「マナっていうのを知ってるか?」
『マナか?……』
「ああ、マナだ」
『マナというのはエレメントの力を管理している者の一人だ。実際管理している者の人数は不明だがおそらく四、五人
ぐらいだと思われている』
「ふ〜ん、それで管理しているっていうのはどういう意味?」
『その言葉の通りだ。力を抑制しきれずに解放してしまった者。悪用してしまったものなどが
その管理している者たちにエレメントの力を取り除かれてしまう』
「そうなんだ……なかなか怖い存在だな……」
『そうとは限らない…むしろ管理している者がいるから今まで悪用されるのを防げたのだ。
まだ、防げてないところもいくつかあるようだが…』
「マナに抵抗してるってこと?」
『そうだ……方法は分からないがその管理者たちの目をあざむく方法もあるらしい』
「結構難しいんだな、エレメントの力っていうのも……」
『ああ……そうだな』
頭の中であの声がふたたび再生された。
『また、近いうち会うと思うよ……』
あのときはカタコトでよく聞き取れなかったが確かにこう言っていたはずだった。
それをラティエルに伝えた。
すると、ラティエルは変な顔をした。まあ、龍の顔だからどれが普通でどれが変なのか分からないが……。
『それは妙だな……』
「何でだ?」
『管理者は人間に直接手を下すことがあってもコンタクトを取ることはしないはずだ』
「でも、実際マナはしてきた……何故?」
『私にもわからん……お前の生まれ、能力が何かしら関与しているのは確かだ…』
「『直接エレメントを遺伝子に組み込まない方法で生まれたエレメントハマニティ』ってことか?」
『そうだ…だが、私もお前がどういう研究の末に生まれたのかは検討もつかない』
『だが』とラティエルはいい
『お前がルガーソードに選ばれた以上お前が死ぬかルガーソードが壊れるまで見守らねばならないだけだ』
俺はルガーソードを取り出し両手に持ってみた。
直接力が伝わってくることがすぐに分かった。溢れんばかりの闇のエネルギー。
使い方を間違えれば世界を闇に染めてしまうとラティエルは言っていた。
確かに…この剣なら世界を闇に染めてしまうどころか世界を消滅させかねないと俺は思った。

オレハ、コノツルギノツカイカタヲマチガッテハナラナイ